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「リレーコラム」ルール変更で物足りなさも 柔道全日本選手権、理想像の模索を

2017年05月10日

ウルフ・アロン(左)を攻める王子谷剛志。延長の末、優勢勝ちで優勝を果たした=日本武道館
ウルフ・アロン(左)を攻める王子谷剛志。延長の末、優勢勝ちで優勝を果たした=日本武道館

柔道日本一を決める全日本選手権が4月29日、東京・日本武道館で開催され、王子谷剛志(旭化成)が2年連続3度目の優勝を果たした。

連覇は2005年の鈴木桂治以来12年ぶりで、最重量級の王子谷が見せた攻撃的な柔道は王者にふさわしかった。

ただ、ウルフ・アロン(東海大)との決勝は、延長の末ウルフに指導が与えられての決着で、物足りない印象も残った。

今年から旗判定が廃止され、延長戦が導入された。これまでは旗判定は曖昧な決着も多かった。

今回は延長戦でダイナミックな展開での完全決着を期待されたが、現実は互いにポイントを取れず、最後は組み手争いによる消耗戦となった。ルール変更が試合に大きな影響を与えたとみる。

全日本選手権は柔道の総本山、講道館の柔道試合審判規定を適用していたが、2011年から国際柔道連盟(IJF)ルールを一部導入した。

すくい投げやもろ手刈りなど小さな選手が大きな選手を倒すのに効果的な技が禁止され、体重無差別で争う全日本選手権の本質に関わるようなルール改正となった。

それでも全日本選手権は、規定時間で勝負がつかない場合は旗判定で勝敗を決するなどの「国内ルール」を維持してきた。

ただ、IJFは五輪の4年間をサイクルにルールを見直す。2020年東京五輪に向けて「有効」や「合わせ技」を廃止、男女の試合時間を4分とし、累積指導による反則負けの指導回数を4から3に減らすなど大幅な改正に踏み切った。

今回も講道館は対応を迫られ、旗判定を廃止して延長戦を導入し、試合時間を従来の6分から5分にするなどした。

全日本選手権は五輪や世界選手権最重量級代表の最終選考会も兼ねる。国際基準となるIJFルールとは異なるルール下で代表を決定することを疑問視する声も多いからだ。

全日本柔道連盟の西田孝宏審判委員長も「IJFは体重別を前提にルールをつくる。体重無差別の闘いを想定しておらず、全日本選手権との『ズレ』は出てくる。今後も議論は続くだろう」と話す。

日本柔道界には五輪や世界選手権の日本代表選考会を4月上旬の全日本選抜体重別選手権までで終了し、全日本選手権に限っては、下半身への攻撃も認めた講道館柔道試合審判規定で特別開催すべきだ、という意見もある。私も同意する。

最重量級の日本代表に決まった選手が大会を回避する可能性はあるが、柔道日本一の栄光を目指し、精鋭が集まると思う。思い切って、五輪や世界選手権王者の推薦枠を外国人にも拡大することも、新たな魅力を生み出すのではないだろうか。

男子100キロ超級で世界の頂点に君臨するテディ・リネール(フランス)にリオデジャネイロ五輪後に雑談で全日本選手権に興味はあるか聞いたところ「もちろん。柔道家なら、だれもがブドーカンのあの雰囲気で闘ってみたいと思うよ」と目を輝かせた。

大相撲のように外国人がタイトルを取るかもしれない。打ち破る日本選手への期待も高まるだろう。

大相撲の稀勢の里の悲願の初優勝、横綱昇進の盛り上がりを見ると、柔道界にも新たな熱気が生まれるのでないかと想像する。

理想の全日本選手権とは何か。柔道界全体で、幅広くファンの声も聞いて、じっくりと議論してもらいたい。

森本 任(もりもと・まこと)1998年、共同通信入社。プロ野球担当として阪神、日本ハムを担当。08年北京、10年バンクーバー五輪では柔道、スキーなどを取材。11年1月からニューヨーク支局で米スポーツをカバー。15年1月に本社に戻り、レスリング、大相撲、柔道などを担当。






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