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『超AI時代の生存戦略 シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト』落合陽一著 人間性を手放して、新しい人間になる

2017年05月05日


「シンギュラリティ」が怖い。

あちこちで聞くけれど、大抵その後に続くのは「その時、あなたの仕事は人工知能に取って変わられる」的な言葉だ。実際にそうなのだとして、たとえば私のようなライターという職業の場合、どのようなプロセスを経て「取って変わられる」のかよく分からない。分からないから怖い。さらに言えば、「取って変わられ」ないために「人間にしかできない仕事をすべきだ」と提案されたところで、人工知能にどこまでできるようになるのか分からない以上、「人間にしか」という範疇もまたイメージできないのである。

分からないとばかり言っていても仕方がないと思っていたところに、本書の副題「シンギュラリティ<2040年代>に備える」という文言が飛び込んできた。避けられないらしい大きな転換に向けて何をしたらよいか教えてほしくて期待とともに読む。

私にとっては決して簡単な内容ではなかった。できる限り平易にという意図で書かれているが、きちんと理解するにはある一定の素養は必要だ。とはいえ素養があるとは言えない私でも目を開かれたことがある。

まず一つはシンギュラリティに向かっていく世界、シンギュラリティ以後の世界を人間と人工知能の対立が深まる社会と想像していたこと自体が間違っていた。人工知能は社会の基盤そのものとして、つまりはすべての前提に在るものとなるので、その上に展開されるのは人工知能に親和性のある人間と、親和性のない人間との対立。それは人工知能を使う側VS人工知能に使われる側ということでもある。

もう一つ分かったのは「人間にしかできない」と言う時に多くの人が漠然とイメージしている人間性についての認識を改める必要があるということ。人間性は近代以降に成立した概念であり、人類の歴史から観ればごく最近の流行ものでしかない。そしてシンギュラリティに向かう過程で人工知能が人間の身体や心の構造を解析できるようなれば、人間性という曖昧な言い方で神聖化されてきたもののほとんどは、複製可能となってしまう。そうなるともう人間性は固有のものではなくなるので、それを重要視したり、売り物にしようとしても無意味であるというのだ。

ならばどうしたらよいのかということについては「34のリスト」が書かれている本書を読んでみてほしい。とても現実的で有益そうなことが並んでいるのだが、ここで簡潔に説明するのは難しい。ある人にとっては簡単で当たり前のことが、そうでない人にとっては生き方を根底から考え直す必要に迫られるようなことがいろいろと書いてある。

(大和書房・1300円+税)=日野淳


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