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『字が汚い!』新保信長著 悪筆を克服できるか

2017年04月28日


字のうまいヘタは時に死活問題となる。礼状の字が乱暴だと謝意を疑いたくなるし、丸文字で書かれた謝罪文はふざけているように見える。子どものころから「字が汚い」と言われてきた著者は一念発起、悪筆の克服に挑んだ。本書はその試行錯誤の記録だ。

まずは悪筆仲間に取材。暴走族時代にかわいらしい字をからかわれたり、大人っぽい字はダサいとわざとカワイイ字に変えてみたりと、字をめぐる鬱屈はそれぞれに深い。

そもそも字の巧拙に悩むのは「字は人を表す」という根強い“信仰”があるからだ。その真偽を検証すべく、著者は作家や政治家、スポーツ選手の手書き文字を比較検討する。が、これといった収穫はない。

後は実践あるのみと「ペン字練習帳」を次々買い込んで、「あああああ、いいいいい」と日々修練。書きやすいペンを探し、ペン字教室にも半年通う。「まっすぐな線を引くこと」「メリハリをつけること」……それなりにコツを学んだ。

だが著者は気づく。自分はペン習字の手本のような字が書きたいのではない。ただ「いい感じの大人っぽい字」を書きたいのだ、と。そこで街に繰り出して「いい感じ」の看板やビラの字を収集する。

折々の著者の手書き文字が掲載されている。確実に上達している。だが一方で独自の味わい(表紙参照)が失われたようにも思える。ここには巧拙を超えた字の深淵がある。

字がヘタだと悩む人に一読をおすすめする。うまくはならないが、気持ちが楽になる。

(文藝春秋 1300円+税)=片岡義博


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