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「サッカーコラム」興梠慎三の「うまさ」が詰まった浦和の決勝点 相棒のラファエルシルバとの知的な攻撃

2017年04月20日

J1 FC東京―浦和 前半、先制ゴールを決め、ラファエルシルバ(8)と抱き合って喜ぶ浦和・興梠=味スタ
J1 FC東京―浦和 前半、先制ゴールを決め、ラファエルシルバ(8)と抱き合って喜ぶ浦和・興梠=味スタ

あくまでも主観的な感想だが、「すごい」というプレーよりも「うまい」というプレーを好む。なぜなら「うまい」には選手の意思が色濃く反映され、知的さを感じるからだ。「すごい」は間違いなく見る者を驚かせる。ただ、それは誰にでもまねできるものではないことがままある。とんでもない身体能力を備えた選手が、反射的に見せるプレーだ。その意味で「思考」は身体的なスピードや強さをも埋めることができる武器であると指導者はもっと強調した方がいい。Jリーグを見ていると、そこに気づいていないのではと疑いたくなる選手をよく目にする。

いきなりの「夏の気候」が訪れた、4月16日の東京。J1第7節のFC東京対浦和で、周囲にいた人たちが笑ってしまうほどに一斉に「うまい」の言葉を発したのは前半14分。この試合唯一の得点場面だった。

浦和のカウンター。センターサークル付近をラファエルシルバがドリブルで駆け上がる。その時点で浦和の最前線にいた興梠慎三を見張るFC東京のDFは3人だった。浦和側から見て三角形を描くように左から徳永悠平、頂点となる中央に森重真人、右に丸山祐市。普通なら攻撃側は1対3の状況でシュートに持ち込むのは、かなり難しい。ところが興梠は走るコースを変えることで、いとも簡単に1対1状況をつくりだした。3人のDFがつくった三角形の内側のスペース、頂点にいた森重の背後に右斜めに入り込むことで森重と徳永の視界から消え、丸山との1対1の状況をつくっている。そして次はシュートに持ち込む駆け引きだ。今度は左斜めに進路を変え右側にいる丸山を体でブロック。左足の前にシュートのスペースを確保したのだ。

もちろんスルーパスを通したラファエルシルバのパスも絶妙だった。DF徳永が左サイドに視線を移し体の向きを変えた瞬間だから、徳永が反応するのは不可能だ。そのタイミングで興梠の左足にピンポイントで合わせたラストパス。ほぼ走るのと変わらない動作から左足で軽く右に角度を変えたシュートは、興梠も「タイミングをずらして打てたんで」というように、守備陣の予測をあざ笑うかのようにゆっくりとゴールに転がり込んだ。

シュートは必ずしも強くなくてもいいという見本だ。相手が触れなければいいのだ。その意味で、この興梠のソフトタッチのゴールは、遠藤保仁の「コロコロPK」にも共通するものがある技術系シュートだった。ゴールを割られたGK林彰洋も「飛びつけない距離感だった」とタイミング、コースに対しての予測が難しかったことを認めた。日本人選手のシュートでよく目にする光景は、ゴール前での混戦でコースがなくても思い切り蹴ってDFに当てるケース。しかし、ジーコの言葉を思い起こせばいい。「シュートはゴールに送り込むパスだ」というフレーズを。そのうまいシュートを実践してみせたのが「ジーコ・スピリット」の根付く鹿島で何年も過ごしたストライカーというのは偶然だろうか。

それにしても浦和は、昨年以上に安定感がある。ラファエルシルバの獲得は大正解だったのではないか。興梠とのコンビを見ると、攻撃にもう一つの強力な武器ができあがったのが分かる。その興梠が新しい相棒について語っていた。「ここまでうまい選手だとは思わなかった」と。新潟でのプレーのイメージと、チームメートとして常に一緒にプレーする現在とでは印象がまったく違うようだ。だから「ラファ(ラファエルシルバ)が前を向いたときは常に走りだすように思っている」と、絶大な信頼を寄せる。ラファエルシルバも「彼はクレバーな選手で、動きだしの能力も非常に高い」と興梠の技量と感覚を認める。そして「彼のプレーが僕の持ち味を引き出してくれる」と、お互いの存在が相乗効果を生むと気づいている。

Jリーグが開幕して、まだ2カ月ほど。それを考えれば「興梠・ラファ」コンビの熟成は想像以上に早い。そういえば、FC東京戦でGK林に防がれはしたものの、2人がDF4人を手玉にとってシュートまで持ち込んだ場面が後半30分にもあった。まさに技術とアイデアにあふれた「うまい」プレーだ。あうんの呼吸でプレーするコンビ。これに相手守備陣の対応は確実に遅れる。「知性」で守備のかく乱を画策する存在。彼らがサッカーを楽しくする。

岩崎 龍一(いわさき・りゅういち)のプロフィル サッカージャーナリスト。1960年青森県八戸市生まれ。明治大学卒。サッカー専門誌記者を経てフリーに。新聞、雑誌等で原稿を執筆。ワールドカップの現地取材は2014年ブラジル大会で6大会連続。






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