47NEWS >  エンタメ >  エンタメスポーツ >  「野球コラム」指導者悩ます控え選手の出場機会 東京六大学に「フレッシュリーグ」

「野球コラム」指導者悩ます控え選手の出場機会 東京六大学に「フレッシュリーグ」

2017年04月17日

東京六大学野球リーグの新人戦「フレッシュリーグ」の慶大戦に登板した東大3年の40歳、伊藤一志投手=神宮
東京六大学野球リーグの新人戦「フレッシュリーグ」の慶大戦に登板した東大3年の40歳、伊藤一志投手=神宮

プロ野球が開幕して約3週間。大学出の新人投手が、次々とプロでの初勝利を手にしている。

4月6日に楽天の高梨雄平(早大)とロッテの佐々木千隼(桜美林大)を皮切りに7日に広島・加藤拓也(慶大)、9日にDeNA・浜口遥大(神奈川大)、12日に広島・床田寛樹(中部学院大)がウイニングボールを手にした。

中でも加藤は初登板ながら九回1死までヤクルトを無安打に抑える快投を見せた。30年ぶりの新人投手のノーヒットノーランはならなかったが、チームの10連勝に貢献したばかりでなく、床田とともに「強い広島」を印象づける象徴になった。

▽何人が生き残れるか

加藤は慶応高時代捕手だった。176センチ、88キロのがっちりした体格そのままに、大学では力感あふれる投球で通算26勝を挙げた。

ただ、初勝利の試合の7四球に見てとれる荒れ球が特長で、2試合目の阪神戦でも8四球で3失点して敗戦投手。連勝を10で止めてしまった。

彼らが順調に成績を伸ばせるかがポイントで、これからが実力が試される。あっさり勝てたことでプロを甘く見て消えていった投手は多く、何人が生き残れるかだろうか。

▽200人を超す部員

加藤が出た慶大は大学の方針から野球部は「入部を希望する学生はすべて受け入れて」いて、常時200人を超す部員がいる。女子の選手もいた。

東京六大学リーグでは立大がスポーツ推薦枠を設けてから部員が200人を超すようになった。全国的に見ても200人前後の部員を抱えている大学は数多い。ベンチ入りが25人だから8チームも抱えていることになる。

まあ慶大のために言っておくと、歴史と伝統を誇る慶大野球部のブランドに憧れて、思い出づくりや就活のために入部する学生が結構いると聞いている。

▽ユニホームで試合

いずれにしても、大所帯の野球部の監督や部長はいかに部を管理するかに頭を悩ませる。もう一つは、どうすれば控え選手に試合の出場機会を与えられるかどうかであろう。

東京六大学がこの春から「フレッシュリーグ」と銘打って試合増を図った。これは従来、春秋のリーグ戦後に行われていたトーナメント方式の新人戦、つまりリーグ戦に出場できない1、2年生用に組んでいるが、これを総当たり制にして、リーグ戦当日の早朝に同じ神宮球場で試合をする。

▽総当たり制復活

同リーグの新人戦は1951年から63年まで春は総当たり制、秋はトーナメントだったが、64年以降はトーナメントに統一していた。1回戦で負ければ1試合だけで終わるが、総当たりなら5試合できる。

同リーグの内藤雅之事務局長は「神宮球場でやることに意味がある」と話しており、東京六大学に“在籍した証し”をレギュラーではない選手に与えたいとしている。

▽40歳ルーキーが神宮で登板

15日午前8時からのフレッシュリーグ、東大―慶大に多くの報道陣が集まった。東大の40歳、伊藤一志投手が先発したからだ。

東京都内の医大を出て麻酔科医として働いていたが、東大のユニホームに憧れ、再受験して念願の野球部に入った3年生だ。

1イニングを投げ4失点。実力は推して知るべしだが、伊藤は「神宮は広かった」と感激していた。

新人戦は1、2年生の控え選手のためのものだが、部員が少ない東大は例外として3、4年生も出場できる。伊藤の登板はフレッシュリーグ新設が生んだといえる。

▽さまざまな取り組みを模索

神宮球場をフルに使用できる東京六大学と違って、各地の大学リーグはまず球場確保から始めなければいけない。実力ある東都大学リーグでも、神宮を使って8月末の4日間、総当たりの新人戦「フレッシュマンリーグ」を行う。

2014年春に戦後初のリーグ戦6連覇を果たした亜大の生田勉監督は「部員は100名ちょっと。やはり自校のユニホームを着て対外試合をやらせないと、2、3軍の選手たちのモチベーションが保てない」と話している。

▽“神奈川リーグ”発足

6月には従来になかった新人のリーグ戦が発足する。神奈川県内に野球部がある慶大、法大(ともに東京六)、国学院大(東都)、日体大(首都)、桐蔭横浜大(神奈川)が参加する。

この5大学の学生がリーグ戦名や運営方法などを検討中だが、こんな横断的なリーグ戦は画期的とも言える。

国学院大の鳥山泰孝監督は「4年間、野球部にいても他校との試合に出られず卒業する学生はいる。選手を預かる身としては苦しいもの。1試合でも多くチャンスがあればといつも思っていた」と大歓迎している。

▽野球界の危機意識

冒頭に紹介した勝利を挙げた新人投手の出身大学を見て、いろいろな大学からプロ入りしていることに気付いたと思う。

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも大活躍した広島の菊池涼介二塁手が出た中京学院大は、昨年の全日本大学選手権で東海地区代表として初出場初優勝を飾って大学野球ファンを驚かせた。

野球に限らず、スポーツ選手たちは大学で選ぶのではなく、名監督やコーチのいる大学や出場機会の多そうな大学を選ぶ傾向にある。また、大学側も知名度を上げるために好待遇で選手を集めている実態もある

米国の大学や高校のスポーツ部が部員数を絞る方向にあるのは「試合に出られなければ魅力がない」と考える選手が多いからだろう。

そうした対策をしているのがサッカーのJリーグだろう。鳥山監督は「野球界はさまざまな改革をしないと野球人口が減り続ける」と危機感を口にした一人である。

野球界のリーダーであるプロ野球が自分たちだけの殻に閉じこもっているのを、いつも歯がゆく思っているのは私だけだろうか。

田坂貢二[たさか・こうじ]のプロフィル

1945年広島県生まれ。共同通信では東京、大阪を中心に長年プロ野球を取材。編集委員、広島支局長を務める。現在は大学野球を取材。ノンフィクション「球界地図を変えた男 根本陸夫」(共著)等を執筆






アラーキーの幸福写真
乃木坂/ギャルママ(下)

    スタジオでの撮影が続く。17歳で長男を出産した大工原里美さんは、3人の子どもとカメラ…