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「野球コラム」侍ジャパンが米本土決戦へ タイブレーク方式、さらに浸透の兆し

2017年03月16日

4大会連続で準決勝進出を決め喜ぶ筒香(左)ら=東京ドーム
4大会連続で準決勝進出を決め喜ぶ筒香(左)ら=東京ドーム

右足首の故障が心配されている日本ハムの大谷翔平がオープン戦で本塁打を連発しているが、野球ファンの視線は第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にある。出場できなかった大谷自身が一番悔しい思いをしていることだろう。

その日本代表チーム「侍ジャパン」が、大会前の予想を大きく覆す6戦全勝で米ロサンゼルスのドジャースタジアムで行われる準決勝(日本時間22日)に4大会連続で進出した。

▽思い切りの良さ

過去3大会での2次リーグまでの成績は第1回から3勝3敗、5勝2敗、5勝1敗で全勝での勝ち上がりは初めてである。

日本の快進撃の要因はいろいろある。4番筒香嘉智(DeNA)、5番中田翔(日本ハム)の打の軸がしっかりしていることに加えて、日替わりヒーローが出現して上位、下位の区別なく得点できている。

投手陣も球数制限の中、与えられた役割を果たしていると思う。権藤博投手コーチのぶれない起用もうまくいっている。投打に若いチームらしい思い切りの良さが出ている。

小久保裕紀監督の大胆な采配が見られたのが2次第2戦のキューバとの試合。同点の八回1死一、三塁。この日2安打1打点で今大会打撃好調の捕手の小林誠司(巨人)に代打を送った。

この冒険とも思える代打策が内川聖一(ソフトバンク)の勝ち越し犠飛で実を結ぶ。若手中心ながらベテランを生かしてチームに勢いを植え付けたかった意図が見えた。

▽すべては菊池の超美技から

短期決戦では一つのミスから傷口が広がるが、侍ジャパンは一つの美技が流れを呼び込んだ。

大会初戦のキューバ戦。失策が出ていきなり一回表無死一、二塁のピンチに立たされた。ここで中堅に抜けようかというゴロを二塁手の菊池涼介(広島)が身をていして逆シングルで好捕して遊撃の坂本勇人(巨人)に送球して併殺で切り抜けた。

その裏は2死から青木宣親(アストロズ)と筒香の長短打で1点を先制。この一回の攻防が大会前に覆っていたもやもやを吹き飛ばし、チームに「やれる」という勇気をもたらしたと思っている。

昨年、広島優勝に貢献した菊池はその後も再三堅守を見せ、不動の二番打者として貢献している。日本に守備面で大きなミスはなく競り勝てる要因になっているのも菊池のプレーから。大会後に「すべては菊池の美技から」と振り返ることになるのだろうか。

▽サッカーでのPK戦決着

2次のオランダ戦。延長十一回、8―5で破ったが、この一戦は野球ファンにとって忘れられない試合になるかもしれない。「タイブレーク」で勝ったからである。

延長十回まで5―5で決着せず、今大会初めてタイブレークが適用された。野球のタイブレークはもう珍しくないが、プロ野球がタイブレークを戦う場面はまず見ない。

無死一、二塁からのタイブレーク。素直にバントで送る戦法が取れるのも日本向きだ。

4時間46分かかった試合が終了したのは日付が変わる寸前の深夜。こんな決着の仕方もありだと思ったファンもいたのではないだろうか。

サッカーのPK戦での決着やゴルフのプレーオフでのサドンデス方式を思い起こした人もいただろう。

▽引き分けか決着か

日本では「引き分け」が当たり前になっているが、それがいいか、それとも決着を付けた方がいいかは意見が分かれるところだ。本来的には勝ち負けを付けた方がいいに決まっているが、日本の場合は交通事情や長時間試合対策として引き分け試合がつくられた。

国際野球連盟(IBAF)は2008年の北京五輪野球でタイブレークを初めて採用した。WBCでは第2回大会から導入しており、最初は延長十三回からだった。とにかく得点できるように人為的につくられたもので、ショーアップの効果と時間短縮を狙った方式で、国際試合ではごく普通に行われるようになった。

▽東京オリンピックでも

20年の東京オリンピック野球では、戦うイニングを七回にしたらどうかと言われるほどだから、当然のようにタイブレークは導入されるだろう。アマ球界ではすでに多くの試合で採用されている。

社会人野球の都市対抗では03年から決勝戦などを除いて導入。昨年まで21試合でタイブレークによって勝敗が付いた。大学野球は東日本大震災が起こり節電対策から11年の全日本大学選手権から採用された。

この年、初出場の東京国際大を率いた元広島の古葉竹識監督は1、2回戦をともにタイブレークで勝つなど8強入りして注目された。多くの監督がタイブレーク対策なしで臨んだ中、古葉監督はいろいろなケースを想定して練習させていたというから“知将”の面目躍如。「うちのためにある方式なんじゃないの」という冗談まで出たのを記憶している。

▽広がり見せる決着方式

最近では大学のリーグ戦(東京六大学、東都は不採用)でも見られるようになっており、高校野球は甲子園大会では導入していないが、タイブレークについてのアンケート調査を実施する一方、14年から春、秋の地方大会では適用されるようになった。

余談だが、私が初めてタイブレークを見たのはテニスの国際大会で今から45、6年前のこと。タイブレークはテニス界が時間短縮のため1965年ごろ考案され、71年から4大大会の一部で初導入された歴史がある。

▽時差、気候にどう適応

日本がWBCで2大会ぶりに世界一を奪還できるかどうかが注目される。日本と違うグループでは前回優勝のドミニカ共和国、準優勝のプエルトリコ、米国、ベネズエラが4強となった。

この4チームは準決勝進出争いに突入しているが、いずれも戦前から予想された強豪である。なによりメジャーリーガーがほとんどで、米国での試合は「ホーム」なのだ。

実は前回大会から1、2次を日本で開催し、準決勝から米国で戦っている。時差、気候などコンディションづくりやグラウンド条件にどう適応するか。これが鍵だと見ている。

田坂貢二[たさか・こうじ]のプロフィル

1945年広島県生まれ。共同通信では東京、大阪を中心に長年プロ野球を取材。編集委員、広島支局長を務める。現在は大学野球を取材。ノンフィクション「球界地図を変えた男 根本陸夫」(共著)等を執筆






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