47NEWS >  エンタメ >  エンタメコラム >  映画館は再び減る?

映画館は再び減る?

2017年03月09日

「大阪アジアン映画祭」、3月12日まで開催中。(写真と本文は直接関係ありません)
「大阪アジアン映画祭」、3月12日まで開催中。(写真と本文は直接関係ありません)

▼「若い人はだいたいみんなNETFLIXとhuluに入ってる。二つで月額2000円とか。テレビはあんまり見ない。親がケーブルテレビに入ってるけど月額1万円以上もする。映画館にはスター・ウォーズみたいな大きな作品の時しか行かない人が多いかな」。米ロサンゼルス在住の米国人男性(30代前半)が言った。もしもそうした状況が加速するなら、シネマコンプレックス(複合型映画館)は、あんなにたくさんのスクリーンを抱えている必要はなくなる。

▼家のテレビは大型化した。音響設備も充実させてホームシアターにしている人も少なくない。テレビはインターネットにつながってもいる。動画配信企業は過去の映画をメニューに並べるだけでなく、作家性のある作品を撮る監督に、オリジナル作品を作らせて配信している。例えば、先日の米アカデミー賞で、脚本賞と主演男優賞(ケイシー・アフレック)を受賞した『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(ケネス・ロナーガン監督、日本公開5月13日)はアマゾン作品だ。

▼日本全国のスクリーン数は、ピーク時の1960年には7457。観客数のピークは58年の11億2700万人。以降はテレビやホームビデオ普及の影響で減少の一途をたどり、スクリーン数は93年には1734、観客数は96年、1億1900万人にまで落ち込んだ。しかし93年に国内初のシネコンが誕生し、昨年時点でスクリーンは3472(うちシネコンが3045)で、ピーク時の半分に近づくまでに回復した。ただ、観客数は1億8000万人にとどまっている。

▼シネコン以外の独立系映画館は、その多くが厳しい経営状況にある。個人経営の場合は一人で切り盛りしていたり、ボランティアの手を借りたり。「映画館を経営してみたい」と言う人がいても、経営者の多くは「やめた方がいいですよ」と、まずは思いとどまるよう、冗談半分以下で返答する。ではネットの動画配信がさらに普及したら、独立系映画館から先に姿を消していくのだろうか。

▼ある独立系の経営者は「東京五輪終了後あたりから、店じまいしてしまうシネコンが幾つもでてきても不思議ではないと思う。もうからなければやめてしまうのだろうから。デジタル映写機のリース期間が終わるという節目も来る」と言う。別の経営者は「隣の町のシネコンがもしも経営都合で閉めたら、この県はうちぐらいしか映画館がなくなってしまう」。自身の映画館の経営や後継者が見つかるのかという懸案を抱えて大変なのに、シネコンの先行きを憂慮している。まだ減少の兆しが見えたわけではない。田舎育ちの筆者としては、ネット配信によってさまざまな映画を、東京に遅れることもなく見られるのは夢のようだ。しかし一方で、暗闇に身を沈めて、見知らぬ他人の反応も感じながら映画を見られる場は減ってほしくない。

▼「ホームシアターの弱点は、映画を見終わったらそこが自宅だってことだね」と独立系映画館の館主が笑った。「だって映画を見たら、まっすぐ家に帰りたくないなって思うでしょ。どっかでお茶でもしてから帰ろうかとか、バスに乗らずに歩いて帰ろうかなとか。そういう体験の総体が、映画を見るってことだと思う」

(宮崎晃の『瀕死に効くエンタメ』第96回=共同通信記者)


みやざき・あきら 共同通信社記者。2008年、Mr.マリックの指導によりスプーン曲げに1回で成功。人生どんな窮地に立たされても、エンタメとユーモアが救ってくれるはず。このシリーズは、気の小ささから、しょっちゅう瀕死の男が、エンタメ接種を受けては書くコラム。






アラーキーの幸福写真
乃木坂/ギャルママ(下)

    スタジオでの撮影が続く。17歳で長男を出産した大工原里美さんは、3人の子どもとカメラ…