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『俳句の海に潜る』中沢新一、小澤實著 そんなにスゴイ芸術だったのか

2017年02月03日


人類学者と俳人の対談本。俳句の世界を斜め横から少しのぞくつもりで手に取ったのだが、冒頭からずぶずぶと深く果てのない海の底に引きずり込まれて……俳句ってそんなにスゴイものだったんですか!?

人類史的視点から捉えた中沢新一独自の俳句論が全編で炸裂し、小澤實は終始聞き役に回っている。その一端を紹介すると――。

人間主体の和歌・短歌に対して、季語を立てる俳句は動植物や山川草木の目になって世界を認識する。例えば「鷹が眼を見張る山河の透き徹る」(林翔)。幻覚剤で鳥になる修業をした中米先住民のように作者は鷹と一体化している。すなわち俳句の本質はアニミズム。古代的で土俗的な考古学的芸術である。東北を旅した芭蕉は、文明に染まらず縄文的要素が色濃く残る地に深く潜行し、歴史の古層に触れようとしたに違いない――。

このほか「俳句と仏教は共通の根を持っている」「俳句に匹敵する西洋詩はランボーくらい」「俳句は世界遺産を超えた人類遺産になりうる」と対談の勢いもあって、素人目にも大風呂敷と思われる自説を展開する。とはいえ、分野を横断する知見に基づく奔放な仮説とアクロバティックな論理展開がきわめて魅力に富むことは確かである。芭蕉を追って旅を続ける小澤は「驚きと喜びでめまいを覚えるほどであった」。

学術的な実証性を重んじる研究者なら目をむく俳句論かもしれないが、俳句の可能性を最大限に拡張した怖いもの知らずの知的冒険を歓迎しよう。

(角川書店 1800円+税)=片岡義博


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