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『ブラインド・マッサージ』 盲人たちの「ひと」を見る目に心揺さぶられる

2017年01月10日


南京の盲人マッサージ院を舞台に、そこで働く盲人たちの恋、挫折などさまざまな人間模様をリアルに描いた中国映画。視覚障害者たちが働くマッサージ院に、院長先生の同級生ワンと、恋人のコンがやってきたことをきっかけにマッサージ師たちの日常が少しずつ変わっていきます。

まだ女性を知らない若手のシャオマーは、隣に座ったコンから放たれる不思議な色香にひきつけられるようにクンクン! 女性の性の香りに心を乱されたシャオマーの姿を見かねた同僚が「爆発する前に」と、彼を風俗店に連れて行くのです。どんなにあらがっても性に翻弄(ほんろう)されていくその姿はとても強烈で、目が見えないコンタクトをしていたという役者さんたちの演技もすごすぎる。

視覚障害者たちの繊細な性を真正面から描いたのは、ロウ・イエ。この監督は、2006年に『天安門、恋人たち』を発表した監督で、検閲のために中国当局にフィルムを提出した結果、「音声と画質」に問題があるとして中国国内での上映を却下されてしまった監督です。却下の理由は天安門事件の描写があったからでは…など、諸説あります。ロウ監督は、この作品がコンペティション部門に選出されたカンヌ国際映画祭に強行出席。その後、5年間、中国での映画制作禁止を命じられていて、本作は『二重生活』に続き中国内復帰第2弾の映画となりました。大島渚など、かつて日本の監督たちがそうであったように「権力と戦う」監督たちはこちらの心臓をわしづかみにするような作品を撮るのだと改めて感じました。

ロウ監督が描く盲人の世界は、とてもリアル。ぼかしという特徴的な演出を使って、彼らが見る世界をわたしたちに見せてくれます。相手のちょっとした感情の動きに繊細に反応する盲人たちの姿を見て、わたしたち目が見えている人間よりもずっと相手の心を感じられる。目が見えないからこそ、誰よりも繊細にひとの心の動きを見ることができているんだなと感じました。現実の痛みにもがき、苦しみながらも明るく無邪気に生きる姿はピュアで美しく、生きることに必要な本当の強さを教えてくれる映画です。★★★★★(森田真帆)

監督:ロウ・イエ

出演:ホアン・シュエン、チン・ハオ、グオ・シャオトン、メイ・ティン

1月14日(土)から全国順次公開






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