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『無葬社会』鵜飼秀徳著 変わり果てた葬式とお寺

2017年01月06日


変わり果てた葬儀と寺院の現在を報告したルポルタージュ。ページをめくるごとに驚きの事実に直面し、うそ寒い思いにとらわれる。例えば――。

大量死時代を迎える日本人の年間死者数は2030年に160万人を突破する。これは鹿児島県の人口にほぼ等しい。既に都会の火葬場は満杯で待機期間が7~10日間。このため遺体を一時保管するビジネスが繁盛している。遺体の引き取り手があればまだいい。2030年の孤独死予備軍は2700万人に迫るというから空恐ろしい。

檀家が頼みの地方のお寺は過疎や高齢化、地縁・血縁の崩壊で衰亡し、そのぶん都会では宗派を問わずに永代供養するビル型の巨大納骨堂が急増している。首都圏では3、4組に1組が葬式なしで火葬し、葬儀代節約のための献体が増えている。遺骨を捨てる事件が増え、骨壺は電車内遺失物の定番だ。宅配便で遺骨を引き取る「送骨」サービスをするお寺や、アマゾンを介して僧侶を手配する「お坊さん便」も話題になった。

核家族化や共同体の崩壊、死生観の変化を背景に、死者を丁寧に弔い、供養する時代はどうやら過去のものになりつつある。

出版社の記者である著者の叙述はつとめて客観的だが、一方で失われた縁を取り戻す寺院や僧侶の試みを紹介し、仏教学者・佐々木閑へのインタビューで仏教再興の道筋を探っているのは、僧侶でもある著者の危機感の表れだろう。

社会全体で死者の影が薄くなっている。それは何を意味するのか。

(日経BP社 1700円+税)=片岡義博


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