47NEWS >  エンタメ >  エンタメコラム >  「うさんくささ」を白日の下に ロバート秋山の「なりきり」芸
「うさんくささ」を白日の下に ロバート秋山の「なりきり」芸

2016年11月17日

『クリエイターズ・ファイルVol・01』
『クリエイターズ・ファイルVol・01』

自分ではない何者かになりきることを表現とする人々がいる。

美術の世界では、ゴッホの自画像やマリリン・モンローに扮する森村泰昌。演劇では職業などを手掛かりに市井の人々を一人で演じるイッセー尾形。最近では、スティーブ・ジョブズやダルビッシュ有になりきった南伸坊の写真が話題を集めた。

お笑いの世界では、友近や横澤夏子らが、「こんな人、いるよね」という黒い共感を誘う「なりきり芸」で人気だが、新たに参戦したお笑いトリオ「ロバート」の秋山竜次が、新機軸を打ち出している。芸の現場はテレビや劇場ではなく、フリーマガジン「honto+」(紙と電子版)。連載企画「クリエイターズ・ファイル」で秋山がなりきっているのは、現代のクリエイターたちだ。

テイストは『情熱大陸』(TBS系)や『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)を思わせる。例えば、秋山こと、テクニカル・サウンド・アレンジャー重松光(51歳)は、ミュージシャンの楽曲をアレンジする技術で、その世界では第一人者らしい。だが…。「手を加えないというのが、本当はイチバンのアレンジなんだ」「だからアレンジしてくださいと持ち込まれた音を、実は内緒でそのまま返すことだってある。するとほとんどは、『すごくよくなりました!』と言うんだ」

裸こそが一番のおしゃれという自説を披露するトータル・ファッション・アドバイザーや、庭の植物への哲学を語りながら牛肉を好むスローフード・アドバイザー、他にもプロスカウトマン、メディカル・チームドクターといった、プロフェッショナルたちが自分を語りまくる。

「世間では、そういう職業の人をこんな風に見ているだろう」という共通常識の捉え方が絶妙で、既存の番組に登場してきたクリエイターたちの「すごさ」の奥に視聴者がかぎ取っているであろう「うさんくささ」を力業で白日の下にさらす。

普通の市民であれば「変な人」とされるような一面も、クリエイターであるというだけで表現の一部とみなすような風潮のおかしさを風刺しているのかもしれない。私見だが、既存の番組からは、クリエイターゆえに「他の人とかなり違う一面があるはずだ」という、番組側と視聴者の期待が漂う。クリエイターという人種への固定観念も、秋山は面白がって笑い飛ばしているのだろう。

連載を書籍化した『クリエイターズ・ファイルVol・01』(ヨシモトブックス)の付録DVDは、クリエイターの表情や肉声を伝えている。それぞれのたたずまいにのっとった語り口に浸っていると、じわじわとおかしみが深まっていく。作り込みすぎていない、そのいいかげんさがまたいい。(敬称略)

(上野敦・共同通信文化部デスク)


うえの・あつし 文化部記者。1年ほど前、東京・新宿の「ルミネtheよしもと」の楽屋で、秋山竜次さんを見かけた。そこにいるだけで見る人を笑わせてしまうようなオーラで、裸体が黒光りしていた。






アラーキーの幸福写真
乃木坂/ギャルママ(下)

    スタジオでの撮影が続く。17歳で長男を出産した大工原里美さんは、3人の子どもとカメラ…