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多様化する流行 ファッションの最前線はどこ?

2016年11月02日

「極度乾燥(しなさい)」ブランドの店舗。日本人が見ると、なんだか変な感じだ=ロンドン
「極度乾燥(しなさい)」ブランドの店舗。日本人が見ると、なんだか変な感じだ=ロンドン

ファッションの最前線はどこにある? 普段着るものはもっぱら機能性と価格で選ぶ記者が、東京から最新のファッションを発信する「東京コレクション」を取材した。いわゆる「ランウエー」と呼ばれる道を行き来する最新の衣服をまとったモデルを、小さくなって座ったまま、首と目を動かして必死で追う。「何が新しいのか?」「すごいところはどこか?」。次々に現れる新作を見ながら、脳みそをフル回転させる。うーん、わからん。

まず印象に残ったのは、ショーに使われている音楽。自分が子供のころ、ラジオなどで流れていたような曲が多い。ザ・ブルーハーツの曲をはじめ、パンクが多かった。ショーで発表される新作もちょうどそのころ、1980年代に流行していたような形が目立った。きつめのメークも、やはりそのようだ。当時、最先端ファッションなどは無関係な片田舎で野山を駆け回っていた私には全く記憶にないのだが…。

しかし細かく見れば、全くのコピーではない。肩が大きく広がったシルエットも、当時の気合い十分だった形より柔らかい曲線を描いていて優しい印象だ。堅苦しくなりがちだったドレスアップ用の服も、これまでよりゆったりとしたデザインが多く着心地がよさそうだ。「おしゃれは我慢!」とよく言われるが、そうでもなくなってきているのだろう。

流行は繰り返す。これは音楽でも言えることだ。しかしファッションも音楽と同じで、らせん階段を昇っていくように時代を反映しながら進化していく。息苦しい社会で生きていくのに、服装くらいは少しゆるめで行きたい。そんな人々の思いが形となって現れているのかもしれない。そう考えると、ランウエー観察も面白くなってきた。ただ東コレで発表されるような洋服を着た人で街があふれかえる様子は、私の経験が浅すぎるためかあまり想像できなかった。

その後、パンクやミニスカートなどこれまで数々の流行を生み出してきたロンドンの街角を歩く機会を得た。さまざまな顔立ちの人々が行き交う、多様な都市。皆、思い思いの衣服に身を包んで歩いている。都会的な街並みに、民俗衣装も映える。気になったのが、おかしな日本語が書かれた服を着た英国人たちだ。「極度乾燥(しなさい)」。ほかにも「幸せの肉」「本当の努力」などなど、もはや日本語ではない表記もまま見られる。中でも「極度乾燥」で知られるSuperdryブランドはロンドン中心部を始め数多くの店舗を展開し、紙袋を提げた人を連日見掛けるなど大人気の様子。店舗に入ると並ぶ品物はデザインも良く、縫製などもしっかりしている印象だ。

ロンドン最大の繁華街、ピカデリーサーカスに鎮座する店舗に買い物に来ていた大学生に感想を聞くと「日本語が書かれた服はほかにあまりないから、格好いいんだ」との返事。「でも日本人が見たら、意味がよく分からない」と話すと「よく分からない英語が書かれたシャツも、いっぱいあるよ」との指摘が。ごもっとも。日本でも、変な英語のTシャツたくさん売ってます。ただ「おかしな日本語でもいいからデザインに取り入れたい」ということは、それだけ日本のイメージが良い時代になった証拠なのだなぁ、と実感した。

ただみんながみんな、日本語の入った服を着ているわけではない。個人の意見が尊重される時代がやってきて多様化が当たり前になり、以前のように人々が同じようなデザインの服を着るようなことはなくなった。日本も同様ではないだろうか。好きなものを、好きなように着る。そうなると、ファッションの最先端はますます見えにくくなりそうだ。(加藤朗・共同通信文化部記者)


かとう・あきら 千葉、新潟支局を経て文化部へ。音楽や住まい、教育などを担当してから現在はファッションやペット、釣りなどを取材。






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