47NEWS >  エンタメ >  新刊レビュー >  『何度でもオールライトと歌え』後藤正文著 人気ミュージシャンによる生活と思想の書
『何度でもオールライトと歌え』後藤正文著 人気ミュージシャンによる生活と思想の書

2016年05月30日


ロックバンド「ASIAN KUNG-FU GENERATION」のゴッチこと後藤正文のエッセイ集。という紹介から入ることが、とても歯痒い。でもそれが事実である以上、まずはそう書いた方がいいと思うのだけれど。

歯痒さの原因は、本書が人気ミュージシャンが「余技」として書きましたというもののレベルを様々な意味で超えているからだ。語りの巧みさ、思考の深さと展開の鮮やかさ、そして発信することへの覚悟など、並みの文筆家の比ではないとさえ思う。

3.11以降、変わろうとする日本に、そして依然として変われない日本に、著者は悩み、憤り、行動してきた。自ら新聞を発行して様々な人に取材し、時にはデモに参加し、もちろんミュージシャンであるから曲を作り、歌う。一方で一人の生活者として老人の多い街をブラブラ歩き、うどん屋の行列に大人しくおさまり、居酒屋の片隅で酎ハイをあおったりもする。

表現と生活の境界は曖昧だし、政治と生活の間にもはっきりした線など存在しないと著者は語る。この国に住まう以上、人と人が複雑に関係し合うことで成立している場から逃げ出すことはできない。だからもう腹を決めて、みんな自分の役割を自覚し、責任をまっとうしようではないか、と著者は暗に呼びかけているようだ。

本書のタイトルにもあるけれど、著者の役割はラブソングを生み出すことを通して、世の中に向けて「オールライト(大丈夫)」と語りかけることになるのだと思う。歌以外の活動では、何が「オールライト」なのか、なぜ「オールライト」なのかも具体的に提示していくというのが、著者独自の責任の形なのだろう。

翻って私自身の役割と責任を思わざるを得ない。もっと何かをすべきだ、したいという気持ちにさせられる。

日記をもとにしたエッセイ集ではあるが、とても“今”な感じがする、生活と思想の本。

(ミシマ社 1500円+税)=日野淳


この商品を購入する




お先にフジテレビ
『おじゃマップ』試写コラム 香取慎吾とザキヤマが地元に来たら…

『おじゃマップ』試写コラム 香取慎吾とザキヤマが地元に来たら…2011.07.01

 『おじゃマップ』 (7月4日午後9時~10時48分、フジテレビ系)は、「ある日、あなたの町に香取慎吾が現れたら? そんな夢が実現する番組」という触れ込み。1月に続いての放送だが、有名人が予告なくやっ...

アラーキーの幸福写真
乃木坂/ギャルママ(下)

    スタジオでの撮影が続く。17歳で長男を出産した大工原里美さんは、3人の子どもとカメラ…