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是枝裕和監督、本当は小津が好き? ご本人に聞いてみた

2015年06月11日

是枝裕和監督=東京都港区
是枝裕和監督=東京都港区

是枝裕和監督は、欧州ではしばしば“Ozuの孫”と称されてきた。5月のカンヌ国際映画祭に出品した新作『海街diary』は、小津安二郎の作品世界と通じる印象が強く、小津の孫ぶりに拍車がかかった。だが、是枝監督が好きなのは成瀬巳喜男である。それでいて脚本を書く際には、小津が脚本執筆時に定宿にした旅館「茅ヶ崎館」(神奈川県茅ケ崎市)に泊まり込むと耳にしていたので、この際、どういうおつもりなのか聞いてみた。

(以下「▼」は筆者)

▼茅ヶ崎館で脚本を書いているのは、いつからですか?

是枝:えっと、『歩いても 歩いても』(2008年)以降です。

▼是枝さんは成瀬が好きで、別に小津が好きなわけじゃないんですよね。

是枝:好きなわけじゃないです(笑)。

▼じゃあ、小津さんが使っていた部屋で書くっていうわけではないですか?

是枝:小津さんが使っていた部屋で書いてます(爆笑)。

▼(爆笑)。何か屈折してません? 何かあるんですか?監督の中に。

是枝:いい部屋なんですよね。最初は冷やかしで行ったんですよ。『歩いても―』の時は、何か海沿いの話を書こうと思ったから、「小津さんが行ってた宿があるらしいから、ちょっと昔の映画人っぽく、旅館を借りて合宿なんていいね」なんて、冷やかし気分で行ったんですけど、そうしたら良かったんですよ、宿自体が。

▼宿自体が良いのだと。

是枝:宿泊客をほったらかしにしてくれるんですよ。静かで、夜になると波音が聞こえてくる。それで「ああ、いいなこれ」と。多分、小津さんがいたころはもっと東京から距離がね、電車も時間が掛かったでしょうけど。今でもやっぱり1時間ぐらい掛かるんで、ちょっと東京の喧噪を離れて、自分がやりたいものをこう、整理するとか。規則正しく朝起きて、朝飯食って、海を散歩して、書いて、昼お風呂に入って、夜書いて、みたいなことをやるというのがとても良かったですね。意外といいもんだなと思って。

で、『歩いても―』なんか、あの海沿いの場所で書いた感じっていうのが、何か生きている感じがしたもんだから、脚本に。それで次から若手も引き連れて、部屋をそれぞれ借りて合宿するようになって、『海街diary』の脚本を書くときも使いました。

▼でも、小津が好きなわけじゃないと?

是枝:小津が好きなわけじゃない(笑)。小津さんが食べていたという「カレーすき焼き」というのが、そこの旅館の名物になっていて、すき焼きにカレー粉をまぶしてあるのが食べられるので、ま、それは食べましたけどね(笑)。

▼食べてるじゃないですか。それは、おいしいんですか、ちなみに。

是枝:おいしいんですよ、葉山牛を使ってて。

▼ああ、いい肉を使ってらっしゃる。

是枝:もともとは、小津さんは書いている部屋で七輪で鍋をやって、自分でカレー粉を入れてたらしいんですよ。そこに陣中見舞いというか、差し入れにきた笠(智衆)さんとか、そういう人たちと、すき焼きをしたってことらしいんです。それが残って、旅館で出すようになったというね。頼めば。

▼だいぶ味わってる感じが…。

是枝:アッハッハ、今話してたら「俺(小津が)好きなのかな?」って気が…。

× × × × ×

ちなみに『海街diary』は、原作漫画を読んだ時点で「小津を意識せざるを得なかった」と是枝監督は言う。「人間ドラマというより、人間を取り巻いている時間が積み重なっていくのが、ちょっと小津的だなと思った」と語り、撮影前に小津作品を何本か見て、以前よりも小津を身近に捉えることになったそうだ。とはいえ、小津ならばやらない成瀬の手法も使っている。(敬称略)

(宮崎晃の『瀕死に効くエンタメ』第75回=共同通信記者)

※映画『海街diary』は6月13日全国公開。4姉妹を演じたのは綾瀬はるか、長沢まさみ、夏帆、広瀬すず。






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