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『イラク チグリスに浮かぶ平和』 悲惨な現状を日本人に突きつける

2014年10月21日

(C)ソネットエンタテインメント/綿井健陽
(C)ソネットエンタテインメント/綿井健陽

ジャーナリスト・綿井健陽の『Little Birds イラク 戦火の家族たち』以来約10年ぶり、2本目となる劇場映画監督作である(共同監督は除く)。前作は、大量破壊兵器の保有を口実に2003年に始まったイラク戦争を、イラク市民の視点から報じたドキュメンタリー映画だった。日本も支持したこの戦争で、10万人以上のイラク人が命を奪われた。しかもその多くが、フセイン政権とは無関係の無辜の民だと知り、日本人である以上、自分もこの大量殺戮に加担したことになるのではないかと自問せずにはいられなかったものだ。ブッシュにだまされただけだと言い訳することもできるのかもしれないが。

綿井は、開戦から10年という節目に、その続編を撮るつもりでイラク入りしたそうだ。ところが、前作のいわば主人公だったアリ・サクバン(米英軍の空爆で3人の幼い子供を失った、綿井と同世代のイラク人)は、08年に殺害されていた…。

本作は、前作以降にサクバン家を追った映像に前作の抜粋が挿入される構成になっている。唯一生き残ったアリの長女の10年間の成長が、映像によって確認できる。治安の悪化もしかり。見ていて耐えられなくなる。前作同様にナレーションも音楽も資料映像も一切使わない方法論が、イラクの現状をより強固に我々日本人に突きつける。少しでも多くの人に見てもらいたい。この現実から目を背けてはならない。★★★★☆(外山真也)

【データ】

監督・撮影:綿井健陽

10月25日(土)から東京のポレポレ東中野、全国順次公開






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