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『サーカスは私の<大学>だった』大島幹雄著 舞台裏もアクロバティック

2013年03月11日


動物たちの曲芸や軽業師の空中ブランコ、道化師の手品――スリリングで愉快で摩訶不思議なサーカスの世界。だがその舞台裏も、ステージに負けないくらい驚きと笑いに満ちていた。本書は海外からサーカス団や芸人を招いては各地で公演を仕掛けてきた興業マンの30数年にわたる奮闘記である。

初仕事はロシアから来日したサーカス団の全国巡業だった。熊のエサ調達に奔走しながら町から町へ3カ月。腰掛け仕事のつもりがハマってしまった。象5頭を乗せた巨大オンボロトラックが都内を爆走する。東独から来た調教師は象を無断で公園に連れ出す。興業は大ウケ直後に大コケする。まさに綱渡りとクラウンのドタバタショーだ。

至高の芸、評判のパフォーマーを求めて欧米・アジアはもちろん、零下30度のシベリアの町にも飛んだ。旅先では仲間と酒を飲み交わしつつ夜ふけまで話し込んだ。国境を越えた出会いと交流の輪はやがて時間軸を超え、戦前に海外で活躍した日本のサーカス芸人の足跡を追って評伝にまとめる仕事につながっていく。

華麗なサーカスの世界には、どこかに悲しみのようなものが張り付いている。狭い世界に生息する人間が持つ暗さやあやしさと言ってもいい。古今東西の人間が行き交う愉快なサーカス遍歴をつづった本書にも、余韻にはなぜか暗い響きが混じる。そんなことはひと言も書いていないが、サーカスが持つこの光と陰の濃さに著者は身も心も持っていかれたのではないか。

(こぶし書房 1800円+税)=片岡義博


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