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『上を向いて歩こう』佐藤剛著 奇跡のヒット曲はなぜ生まれたか

2011年08月15日


今も歌い継がれるスタンダードナンバー『上を向いて歩こう』。いい歌だよね。いや、そんなひと言じゃすまないんだ。忌野清志郎はこの曲を「日本の有名なロックンロール!」と叫んで死ぬまで30年間歌い続け、ボブ・ディランはコンサートのアンコール曲に選んだ。

この歌の力はどこにあるのか。世に送り出した「六・八・九トリオ」の人生を軸に名曲の素性を丹念に追った。

誕生は1961年。60年安保運動に身を投じた永六輔は、苦い挫折のただなかで詞を書きつけた。「涙がこぼれないように」と。麻薬中毒から生還したジャズミュージシャン中村八大は、ただ「人の心の役に立つ」曲作りを誓っていた。川崎の花街に育った19歳の坂本九は、人の痛みにことさら敏感なロカビリー歌手だった。三人三様の思いを込めて奇跡の名曲は生まれた。

初演時の楽譜からヒットの秘密を探るくだりには胸躍る。楽譜通りに歌うと実に悲しく重い。だがプレスリーに心酔する坂本九は、歌詞をリズムに乗せるためビートを利かせたロックンロールのノリと裏声を使った歌唱法で、せつない哀歌に若さと希望を吹き込んだ。

やがて『スキヤキ』というタイトルで、世界のヒットソングへ。空前絶後の快挙からは焼け跡から立ち上がった少年期の日本の躍動感が伝わる。

たまらずユーチューブで検索した。軽やかな木琴の前奏から♪ウヘホゥムフゥイテ、アールコゥホゥオゥオゥ。ああ、やっぱりいい歌だ。

(岩波書店 2000円+税)=片岡義博


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