『小さな村の小さなダンサー』 ウリは感動、中身は骨太
2010年08月24日

(c)Last Dancer Pty Ltd and Screen Australia
中国で英才教育を受けたダンサーが、米国での研修中に亡命して一時は故郷と決別するも、その功績を認められて再び故郷の地を踏むまでの激動人生。
米ヒューストン・バレエ団のプリンシパルになったリー・ツンシンの自伝小説を、オーストラリア映画『シャイン』のスタッフが製作。王道の感動物語ではあるが、恐らく中国製作だったら描けなかったであろう文化大革命時代の中国が透けて見えるのが興味深い。
身体能力が高かったリーは、国策として強制的にバレエの道を歩むことに。中国での公演は、毛沢東夫人の江青の鶴の一声で国威発揚するような演目に変えられる。その江青の方針に反抗したバレエ教師が、反革命として政府に逮捕されるシーンまで盛り込まれている。
その後、改革開放が進んだ結果、リーは渡米を許されたワケだが、亡命をめぐっての中国政府VSリーの弁護士の駆け引きは実に生々しい。反体制・反権力を描いた作品にテンション上がる筆者としては、スクリーンに食い付きまくり。
もちろん物語に説得力を与えるバレエシーンも素晴らしい。何てたって、現役ダンサーをちゃんと起用しているからね。感動をウリにしているが、中身は骨太。そこが気に入った。★★★★☆(中山治美)
【データ】
監督:ブルース・ベレスフォード
製作:ジェーン・スコット
出演:ツァオ・チー、ジョアン・チェン
8月28日(土)より全国順次公開









