『年金は本当にもらえるのか?』鈴木亘著 仕組みを優しく説明
2010年08月23日

定年後はのんびりと年金暮らし。サラリーマン人生で払い続けたのだから、その見返りは当然、期待したいところ。それに老後ぐらい気ままに過ごしたい。だから昨今の年金不祥事に口うるさく言う人も多い。気持ちは十二分にわかる。
悲観的な人は、年金を本当に貰えるか不安に感じるだろう。崩壊すると皮肉っぽく論じる人もいる。一方、政府はその安全を喧伝する。何が本当なのだろうか?
本書を読めばその財政のからくりが理解でき、問題点が見えてくる。結論から先に言えば、著者は年金制度は破綻しており、目的税と積立方式の導入により打開しようと主張している…。と書くと難しいが、要は現状の制度は資金を集め、貯める方法が粗悪で、そこを改革していく必要がある。その仕組みを優しく説明してくれている。
何が悪いか? 諸悪の根源は、現在の高齢者を現在の現役層が支える「賦課方式」という運営のあり方だという。“世界最速”で人口減少、少子高齢化が進む今の日本ではこの方式には無理がある。しかし、既得権益を守りたい政府は様々な方便で、困難を覆い隠している。著者は、その無理を緻密に分析し明快にしてくれる。
年金のことを知り、さらには行政の悪習を思い知った。
(ちくま新書 780円+税)=一色こうき
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