『死ねばいいのに』京極夏彦著 死ぬよりましなら、ありがたく生きます…
2010年06月21日

金文字で迫力あり。かなり目を引く装丁です。
強烈ですってば、このタイトル。「死ね」や「殺すぞ」よりも言われる機会がなさそうなぶん、衝撃大。著者は妖怪小説の旗手ときた。絶対に「怖い」こと確定でしょう。
登場人物は、1人の女につながっている-。アサミという女が自宅マンションの1室で謎の死を遂げた。「彼女のことを教えてほしい」と、若い男・ケンヤが突然現れる。
不倫関係にあった上司、隣に住む女、恋人で暴力団員、疎遠だった母親。保身する彼らを、ストレートな若者言葉で追及していくケンヤ。大人の建前を壊し、本音をさらさしていく。
タイトルは、ケンヤのせりふ。愚痴や言い訳ばかりする相手を一撃する言葉だ。たいていの人間はこんなことを言われたら抗うもの。死ぬよりはましなのに、グダグダ言いながら生きていくのが人間だもの、なーんて。いやいや、ひとごとではない。「あんたもだろ」という声が聞こえるようで、背筋がゾーッ……。きっと誰もが、ケンヤの言葉の前に正々堂々とはいられないはずだ。
ipad向け電子書籍第1号であることでも話題を呼んでいる。いろんな意味で読む価値ありです。
(講談社 1700円+税)=尾崎英子
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