粋な英語表現と心温まるエピソード 『ニューヨークの魔法のことば』 岡田光世著
2010年03月22日

一話一話、ゆっくり読む。生きること、生活することの味わいを確かめながら。
疲れた夜のホットココア。そんな読後感を与えてくれる一冊だ。
マンハッタンに向かう通勤電車で寝不足の著者が大あくび。目の合った車掌が立ち止まり、ほほえみながらさりげなく言った。
I know.That’s exactly how I feel.(わかりますよ。私もまさにそういう気分ですから)
一瞬のふれあいから一生の絆まで。ニューヨーク滞在中の著者が体験した心温まるエピソードが61話。カフェで、教会で、トイレで、スタジアムで、人種・国籍もさまざまな老若男女が、ふと口にした粋でハートフルな英語表現がエピソードごとに紹介される。
それにしても、この街の人たちのフランクなこと! エレベーターで乗り合わせたインド系美女は「あなたの目、とてもすてきね」。講演会でたまたま同じテーブルに座ったユダヤ人女性は「明日の夜はあなたたち、予定があるのかしら」。この世には「ニューヨークという特別の価値」があり、ニューヨーカーとはその価値を共有する人々のことなのか。
単行本に大幅に加筆し、新たなエッセーも加えた文庫版。Here.This is for you.(はい、これをあなたに)
(文春文庫 600円+税)=片岡義博
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