仰天! 世界各地に残る怪しいモノと景観 『奇界遺産』 佐藤健寿著
2010年03月22日

全編カラーで見せる53の“遺産”。脳がかき回されるので長時間見つめないように。
いま自分がやっていることに意味はあるのか?と悩む友人がいたら、黙ってこの写真集を渡すだろう。大丈夫。世界を見渡せば、とんでもなく「無駄なもの」「余計なこと」に身を投じた人間がいる。
凄惨な拷問場面をチープな人形で見せる国営総合地獄テーマパーク(中国)。約5000体の人骨で造り上げた教会(ポルトガル)。夢のお告げに従って貝殻とサンゴで建てた寺(台湾)。
無駄といっては失礼だ。洞窟の中にある村(中国)も、巨岩の間に挟まれて建つ家々(ポルトガル)も、厳しい環境を生き抜く必死の知恵である。50年間、一人で大聖堂を造り続ける男(スペイン)も、庭園を半人半獣の神々の石像で埋め尽くす僧侶(ラオス)も、抑えられぬ宗教的衝動に突き動かされたのだ。
ページをめくるたびにその奇っ怪な造形に息をのみ、それを生み出した尋常ならざる想像力と情熱に思いをいたす。人間ってもしかしたら、おバカさん…。
この奇妙な世界の遺産「奇界遺産」は、人類普遍の価値を有する世界遺産の対極に位置している。両者ワンセットで人間である。
(エクスナレッジ 3800円+税)=片岡義博
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