フィルムノワールの香り漂う見事な犯罪劇 『ウディ・アレンの夢と犯罪』
2010年03月16日
(c)2007 WOLVERINE PRODUCTIONS LIMITED
ウディ・アレンが、『マッチポイント』『タロットカード殺人事件』に続いてロンドンで撮った作品。
拠点をヨーロッパに移すことで才能を開花させたアメリカの監督は少なくなく、代表格はジョセフ・ロージーだろう。1970~90年代に秀作を連発したニューヨーク派のウディ・アレンも、ロンドンで撮った『マッチポイント』により一時のスランプを脱した。
本作も出色の出来栄えだ。ドストエフスキーやギリシャ神話に目配せしつつ、心ならずも殺人に手を染めた善良な兄弟の悲劇を通じて、人生の不条理に迫る。
そして、得意の話術ばかりか演出家としても円熟の冴えをみせる。とりわけ兄弟が殺人を決意して以降、忍び込んだ部屋のライトの点滅でサスペンスを盛り上げるシーンから凶器を焼却するまでの一連のくだりの、タメと省略のさじ加減は絶妙!
ブラックな笑いがちりばめられているため、一見そうは見えないが、フィルムノワールの香り漂う見事な犯罪劇に仕上がっている。★★★★★(外山真也)
【データ】
監督・脚本:ウディ・アレン
出演:ユアン・マクレガー、コリン・ファレル、トム・ウィルキンソン
3月20日(土)から全国順次公開









