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モータースポーツ
排気量を1000CCへ 曲がり角のモトGP

2010年02月24日

昨年日本で開催されたモトGPクラスの様子。排気量引き上げで調整が続く
昨年日本で開催されたモトGPクラスの様子。排気量引き上げで調整が続く

二輪ロードレースの最高峰、モトGPが大きな曲がり角を迎えている。2012年からの車両規則変更に伴い、現行の800CCという排気量を最大1000CCへ引き上げる方向で調整が続いている。

ロードレース世界選手権(WGPが始まった1949年から2001年まで、最高峰クラスは「GP500(500CCクラス)」と呼ばれ、排気量500CCで2ストロークエンジンのレース専用オートバイで争われてきた。しかし、02年の規則変更でエンジンが4ストローク990CCになったことに伴い、「モトGPクラス」という名称が使用されることになった。06年までの5年間はこの排気量で競技が行われたが、メーカー同士の激しい開発競争で上昇し続ける最高速度への配慮などから、07年には排気量を800CCへ縮小。そして現在、レース主催者やメーカー団体代表たちからなるグランプリコミッションの場で、さらなる規則再改訂に向けて協議が重ねられている。

昨年末には、現在の排気量800CCを12年から最大1000CCに引き上げるという大枠が発表された。あるグランプリコミッション関係者は、「早ければ2月下旬、遅くとも10年開幕戦までには新規則の詳細を詰め、発表したい」と話していたが、2月17日の会議後に発表された資料では1000CCエンジンの詳細規定に関する発表自体は見送られた。

ただ、2月17日付けの発表資料にも注目すべき点がある。1000CCのエンジンに混じり、800CCでも競技に参加できるという主旨の規定や、また、メーカー直系のファクトリーチームよりも戦闘力で劣るプライベートチームの競技性を向上させる狙いとして、一定の審査(後日発表)を通過した場合には、エンジンの使用基数やガソリンタンク容量に課される制限を緩和する措置も明文化されている。

そもそも、安全性の確保という名目で一度は引き下げた排気量を再度1000CCへ引き上げる案が登場した背景には、減少を続ける参加台数に歯止めをかけたい、という関係者たちの思惑がある。そのために、昨年の夏には、中古の800CCエンジンをメーカーが外部に販売・貸与する案や、1000CCの量産車エンジンに改造を加えて混走させるという案が浮上した。しかし、いずれも大きな課題があった。中古エンジンをメーカーが外部に出す場合には、製造者責任(PL法)等の法的責任を考慮する必要があり、量産車改造エンジンを混走させる場合には、同様のルールで行われている類似カテゴリーレースとの棲み分け調整が不可欠だからだ。

これらの問題を解決して新たな車両規則が整備されれば、1000CCレース専用車両、800CCレース専用車両、1000CC量産車改造車両、という3種類の規格が同一レースを走るということになる。これがどこまで実現するのか現状では未定だが、最新鋭のレース専用車両で世界の頂点を争うというグランプリロードレースの定義が、長引く不況や地球環境保全という時代の要請をうけて大きな岐路にさしかかりつつあることはまちがいない。(モータージャーナリスト・西村章)