思わず吹いてしまうシーンの連続だ 『老人賭博』 松尾スズキ著
2010年02月08日

『老人賭博』 前作は自身の監督により映画化。今作も映画化が待望されます。
今回の芥川賞は「該当作なし」に終わった。しかしその候補としてこんなにも楽しい作品があったとは。確かに、これぞ芥川賞という深さや重さはない。痛快、軽快で、思わず吹いてしまうシーンの連続。むしろギャグ漫画っぽいかも。
劇団「大人計画」を主宰し、演劇、映画、そしてコラムなどですでにおなじみの鬼才・松尾スズキの新作は、何やら不可解なタイトルだ。賭博で人が破滅していくタイプの物語か…?と思いきや。
ある意味もっと残酷な話だった。主人公のボクはマッサージ師をやめて、脚本家海馬の弟子となる。撮影で北九州に同行するが、とんでもないことに。映画の主役で78歳の老俳優小関がNGを出すか出さないかで関係者中で賭博が行われる。
謎のグラビアアイドルや、小関の付き人ヤマザキなど一癖ある人物が次々登場し、物語は狂騒状態へ。冒頭から目まぐるしく展開し、あっという間に読み終えた。つねにユーモアがあって、サービス精神旺盛な作品だ。
(文芸春秋 1333円+税)=一色こうき
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