心地いい家にはワケがある 『住まいの解剖図鑑』 増田奏著
2010年01月25日

『住まいの解剖図鑑』 当初は住宅設計を学ぶ学生向けに書かれたという。基本・平凡・普通の偉大さを知る。
住宅リフォーム番組ってどうしてあんなに面白いんだろう? 住みづらかったわが家が、匠の技と工夫で大変身。なるほどそこをそうやればそうなるわけかと快適空間のカラクリに膝を打つ。心地いい住まいには、それなりの理由があるわけだ。家づくりの定石について「それなりの理由」を基本から解説したのが本書。
玄関は「靴を脱ぐ・脱がない」でウチとソト、安心と緊張を分かつ場だ。気持ちを切り替えるため境界には段差をつけ、身なりを整える姿見は靴を履くタタキの方に掛ける。人を迎え入れる玄関ドアは内開きが理想だが、脱いだ靴が邪魔になるから外開きも仕方ない。
和室に求めるのは格式かごろ寝か団欒か。玄関から直接行けるならフォーマルな座敷。リビングを通るならくつろぎ空間。アクセスによって和室の性格は変わるのだ。普通の家がいかに先人の知恵と経験の集積で成り立っているか。住み慣れたわが家を見る目が変わるだろう。
キーワード別に軽妙な語り口で案内。2色刷りのイラストが実に明快だ。優れた住宅設計のように、読者の使い勝手に対する配慮がうれしい。
(エクスナレッジ 1800円+税)=片岡義博
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