2010年01月21日

カルメン・マキの歌声も聞けるCD画集『彼方へ』
海外の話題だったか、テレビを見ていたら、太ったおばさんがしゃべっているその下に「カルメンさん」という字幕が出てきて驚いた。この名前で反射的に連想するのは、もちろん歌劇『カルメン』の主人公。自分の魅力をえさにドン・ホセを夢中にさせたかと思うと、今度は冷たく扱ってボロボロにしてしまうという、あの女性だ。だから、そのおばさんには悪いが「そりゃないだろう」でしょ。
でも外国には、カルメンさんって多いんだろうか。同じように『トスカ』で警視総監を殺してしまう歌姫のトスカさんや、『椿姫』の薄幸の娼婦ビオレッタさんもいるんだろうな。
逆に世界に2人といないと思われる名前もある。NFLのパフォーマンス男、チャド・オチョシンコはどうだろう。この間までチャド・ジョンソンという名前だったスター選手だ。ベンガルズのワイドレシーバーで、タッチダウンの後の派手なパフォーマンスで、思いっきり罰金を取られまくっている。この人、背番号が「85」で、スペイン語で8と5を意味するオチョとシンコを名前にしてしまったらしい。
さて、カルメンと聴けば歌劇の主人公しか思い浮かばないと言ってしまえば、もう1人忘れちゃいませんかと、森の石松風のせりふが聞こえてきそうだ。分かってます。40年ほど前に『時には母のない子のように』の大ヒットを飛ばした歌手のカルメン・マキ。ちょっと投げやりな歌い方が今も印象に残っている。
そのカルメン・マキの今の声を聴くことができた。手元にあるのは、昨年末に発売されたCD画集『彼方へ』。画家の立花泉の絵を基に、夫の立花泰彦が作曲、さらに賛同したミュージシャンが演奏するという企画で、その1曲目でピアノとベースをバックに歌っている。あのころのイメージを大切にしながらも、深みを感じさせる歌声。『ささやき』と名付けられた絵も、キラキラと明るい色調なのに、曲との交錯の中で胸を締め付けてくる。歌手歴40年のキャリアだろうか、心にしみた。
このCD画集には、ほかにもバラエティーに富んだ演奏と輝くような絵が収められ、幸福な時間を持つことができた。思いがけない出合いに感謝。(エンタメ編集デスク・小松美知雄)
(注)CD画集『彼方へ』の情報はウェブサイト「http://park18.wakwak.com/~toying/」
こまつ・みちお 共同通信に三十数年。うち文化部に17年。記憶に残る楽しいインタビューは、アン・ルイスさん、浅野温子さん、ジュリー・アンドリュースさん。2009年からはエンタメ編集デスク。好きな言葉は「様子を見よう」。つまり判断の先送り? まあ、いいじゃない、様子を見てみましょう。水戸黄門じゃないけど。









