2010年01月20日
モリワキが開発したマシン
二輪ロードレースの最高峰、世界選手権シリーズに新しいカテゴリーが誕生する。600ccのエンジン(4ストローク)で争う「モト2」だ。1949年の世界選手権開始以来続いてきた250ccクラス(エンジンは2ストローク)は昨季限りで終了。それと入れ替わる形で今季からスタートする。
背景には、250ccのレースがすでにほとんどの国で行われていないことや4ストロークのほうが環境への悪影響が少ないことなど、さまざまな要因がある。また、250ccよりも市販車のラインナップが充実している600ccの方が販売促進につなげやすいというメーカー側の思惑もあるとされる。
だが、何よりも魅力的なのは参戦経費が安くなることだろう。250ccクラスの場合、年間総合優勝を狙えるマシンを手に入れようと思えば、車両本体だけで1億数千万円が必要だった。しかし、モト2は、エンジンとタイヤはそれぞれホンダとダンロップの1社供給態勢のため、オートバイに大きな性能差が生じることはない。車両にかかる費用は250ccクラスの約10分の1で済むと言われており、昨春に参戦の受け付けを開始した後に申し込みが殺到。選考を経て、昨年11月に23チーム、37人の選手枠が承認された。
また、モト2のマシンはエンジンとタイヤをのぞき、参戦するチームが自由に設計できる。そのため、オートバイを開発・製造している世界中の会社が次々と名乗りを上げ、各チームと共同でさまざまなフレームを製作している。日本からもモトGPクラスへの参戦経験があるモリワキエンジニアリングが早々と参加を表明。昨季第2戦の日本グランプリ(GP)で試作段階のマシンを発表した。モリワキは車両の供給のみだが、かつて世界選手権に参戦していたTSRは、今年の日本GPでのスポット参戦を目標に掲げ、精力的にテストに励んでいる。
日本人ライダーも参戦する予定だ。昨季は250ccクラスに参戦していた富沢祥也が同じチームからのエントリーが決定。また、過去に多くの日本人選手を走らせてきたテック3も高橋裕紀の起用を発表した。昨季終盤にモト2マシンの開発を兼ねてスペイン選手権に参戦した青山周平も参戦を検討している。
事実上ゼロから生まれたクラスで、すべてが手探りからのスタート。それだけに、チーム、選手、ファンの各方面から大きな期待と注目が集まっている。成功すれば、ロードレースを活性化させる大きな起爆剤になるだろう。(モータージャーナリスト・西村章)

