とことんダメな国で行こう! 『日本辺境論』 内田樹著
2009年12月21日

『日本辺境論』 後半、難易度が少し増すので、ギアを一段落として読もう。
久々に読んだ内田樹。矢継ぎ早に出される著作に息切れしてしばらく“断読”していたのだが、やっぱり面白いなぁこの人は。
内田樹の面白さは「なぜか」という問いを「なぜかと問うのはなぜか」という設題に繰り上げていく実に柔軟な思索の方法論にあると思う。著者に導かれて思考の階段を上るうち、未見の景色に出くわして自分まで賢くなった気にさせられる。
さて本書の主題を要約すると「日本人は文化の中心がどこか自国の外部にあって、自分たちは何か劣っているという辺境意識に取り憑かれている」。だから日本人はダメなのだと嘆いた先哲とは一線を引いて著者は言う。だから日本人は異常に効率よく他に学べたのだ。こうなったらとことん辺境で行こう!
この逆説的主張を日本史から聖書、落語までを駆使して跡づける手際。辺境性から禅と武道の極意を説き、その淵源を日本語の構造に求める展開には恐れ入りました。冒頭、自説はすべて受け売りだと過剰にへり下っているが、この出色の日本文化論もまた、辺境意識による学びの果実ということか。
(新潮新書 740円+税)=片岡義博
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