トンデモ本か金言集か 『女性のための修身教授録』 森信三著
2009年12月21日

『女性のための修身教授録』 講義当時、著者は41歳。彼我の人格的落差にぼうぜんとする。
きまじめなフェミニストは本書を一読するや卒倒するに違いない。大阪女子師範学校の講義録を収めた本書は、それだけ時代錯誤の言説に満ちている。
いわく、女性の運命とは妻となり母となって子を育てること、女性の値打ちは家事の巧みさ、家事一々が自己の魂を磨く機会…。階段の上り下りから返事の仕方まですべて人格修養の場とする折り紙付きの窮屈さは、自由至上の現代にあってはほとんどジョークか病気の領域であろう。
著者の名著『修身教授録』に啓発された読者の一人である私は、タイトルを見てすでにこの事態を予想した。しかし同じく予想した通り、講義の底には時代を超えて伝わる真情もまた、熱く脈打っていた。それは「良く生きよ。私も良く生きる」という教育者としての切なる訴えだ。
本書をトンデモ本としてうち捨てるか、金言集として座右に置くかは読者次第。ただ、教育上最も重大かつ根本的問題として著者が挙げたのは「四六時中腰骨を立てて曲げない子どもにすること」(つまり背筋を伸ばすこと!?)。私はしばし絶句した後、目から鱗の思いに打たれた。
(致知出版社 1600円+税)=片岡義博
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