感化されて、センチメンタル 『やさぐれるには、まだ早い!』 豊島ミホ著
2009年12月14日

『やさぐれるには、まだ早い!』 首都圏発行のフリーペーパー『L25』での、連載をまとめた一冊。
書かれているのは、毎日の生活の中の、とりとめもない話。本人いわく、「思い出話」。それでも、心にグッと刺さるものがあるのは、どこか核心をとらえているから。
著者は、どこにでもいそうな普通の等身大の女の子。大学入学をきっかけに、「東京」にやってきた豊島さんの、誰にでも経験のあるような日々の暮らしのエッセー。桜の思い出や、友人の結婚式、帰省のときのお土産の話。または、「初恋の時効」といったセンチメンタルな話。
読みながら、ふしぎと自分の昔の思い出がよみがえってくる。懐かしい記憶を楽しんでいるうちに、豊島さんにとって昔の思い出は、心の栄養剤なのだと気づいた。
ラスト、豊島さんはある決断をする。東京に暮らしていれば、どこかで、恐らく毎日のように下されている決断なのかもしれないが、私は、すごくかっこいいと思った。ただの「思い出話」なんかではもちろんなく、いろんな転換期を迎える人の、心に届く作品だ。
(メディアファクトリー 1200円+税)=江藤かんな
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