女子にとっての踏み絵か 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』 辻村深月著
2009年11月02日

『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』 舞台は山梨。著者も山梨でOLをしていたとか。
以前から気にかかっていた作家だ。手に取るのは本作が初めて。年齢の近い作家なので期待値が高かったが、そんなハードルを軽々と越えてくれた。
フリーライターのみずほは、母親殺害の容疑で指名手配中の幼なじみ・チエミを捜している。地元企業の契約社員として、両親と暮らしていたチエミ。なぜ事件が起き、彼女は逃げているのか。チエミの友人、同僚、恩師、恋人への取材に、みずほは奔走する。
チエミの失踪がミステリーの本筋になっている。が、真の読みどころは、女たちの心模様、女子における人間関係の描写だ。女性ならきっと誰しも心覚えのある、しかし人様に見せられない感情のオンパレード。題名に秘められた想いも明らかになり、打ちのめされた。
ツライ。でも聞きたかった言葉がここにはある。この著者、名前のない感情を言葉にするのがうまいんだ。誰を疎ましく、誰に共感するか。女子にとっては踏み絵になるだろう。
(講談社 1600円+税)=尾崎英子・筆
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