2009年10月15日
『TETSUO THE BULLET MAN』の塚本晋也監督(右)と主演のエリック・ボシック=今年9月、ベネチア国際映画祭会場
映画の宣伝で「米アカデミー賞受賞」「カンヌ国際映画祭でパルムドールに輝く」などと誇らしげな売り文句が躍っているのを、よく見掛ける。
大概の人は、「傑作」とお墨付きが与えられた映画と思うのだろうが、中には逆に「小難しい映画なのでは」と見送ってしまう人もいるのではないか。
かつての筆者も実はその口。デートで訪れた映画館の前で、米アカデミー賞受賞のイタリア映画を「どうせ、つまらないんだぜ」としたり顔で言い放ち、強引に某邦画を選んだ。だがそれは、無駄に残虐な殺人シーンが続くばかりで中身がまるでない駄作。映画館を出て、連れの女性と気まずくなったのは言うまでもない。
しばらくして、その時に敬遠したオスカー受賞作を見て、内容の素晴らしさと自らの愚かさで涙があふれた。忘れもしない。ロベルト・ベニーニ監督、主演の『ライフ・イズ・ビューティフル』だ。
先入観で名作を見逃すのは、実にもったいない。世界中から芸術性の高い作品が選ばれる海外の有名映画祭でも、コメディーなど「娯楽作」と呼べるものも、しっかり上映されている。9月のベネチア国際映画祭では、メーンのコンペティション部門に塚本晋也監督の『TETSUO THE BULLET MAN』とジョージ・A・ロメロ監督の『サバイバル・オブ・ザ・デッド』のホラー映画2本が出品されていた。
両作品とも目を覆うようなシーンがあって、誰もが楽しめる映画とは言えないが、最後までしっかり見れば、社会性を備えた奥深い作品だと分かるはず。共に受賞は逃したものの、さすがにコンペに入るだけのことはある。
日本でも、今月17日からの東京国際映画祭をはじめ、全国各地でそれぞれ工夫を凝らした映画祭が開催されている。
映画祭は、一日で良質な作品を何本も見られるだけでなく、監督や俳優の苦労話や裏話も聞ける貴重な場。それなのに「未体験」という方、結構多いんじゃないのかな。ぜひ一度足を運んでみてください。(山下修・共同通信記者)
やました・おさむ 1969年横浜市生まれ。演劇に続いて映画の担当に。「ただで見られていいね」とよく言われるが、映画はポップコーンとビールを手に、劇場でリラックスして見るのが一番! 体力と記憶力の激減に反比例するかのように、酒量が激増していることが心配な40歳。









