作家として果敢な姿勢に好印象 『あるキング』 伊坂幸太郎著
2009年09月28日

『あるキング』 主人公の王求という名前は、合わせると「球」。ダジャレのようだがうまい!
伊坂幸太郎はもともと好きな作家だが、本書を読んで好感度はさらに上昇。といっても、この作品の内容がストライクだったわけではない。本書はきっと伊坂ファンの中でも、好き嫌いがわかれると思う。
一見リアリティーがあるようでいて、絶妙にファンタジーをまぜたストーリーは、著者らしい。弱小地方球団・仙醍キングスの熱烈なファンである両親のもとで、天才的な野球選手になるべく育てられ、また期待以上の能力が持っていた山田王求。天才的な野球の天賦に恵まれた息子に、両親は狂気に満ちたほどの愛情を注ぐ。そんな天才・王求の人生を、第三者の視点で伝記的に語られた物語。
あとがきに、自分が読みたいものを自由に書きたいと思い執筆したとある。なるほどなぁ、著者が小説にどういうものを求めているのか、あるいはいかに小説を書くという作業と真摯に向い合っているのか、読了すればよくわかる。小説家として攻めの姿勢が感じられた。やっぱりこの人は骨のある作家だ。
(徳間書店 1200円+税)=尾崎英子・筆
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