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緊張の芥川賞・直木賞、初取材 わたしの受賞者予想は…

2009年07月30日

受賞決定を喜ぶ芥川賞の磯崎憲一郎さん(左)と直木賞の北村薫さん=7月15日夜、東京・丸の内の東京会館
受賞決定を喜ぶ芥川賞の磯崎憲一郎さん(左)と直木賞の北村薫さん=7月15日夜、東京・丸の内の東京会館

5月から文芸担当となり、初めて取材することになった7月15日の芥川・直木賞の受賞者発表記者会見。

発表日が迫り、候補作品の読み込み、著者インタビュー、予定稿作り…と、取材と事前準備を加速させる。

取材の合間、しきりに考えていたのは、もちろん「誰が受賞するか」。

「イラン人女性のシリン・ネザマフィさんが取ったら、漢字文化圏以外では初。確実に写真付きで1面だろうな」「いや、一番盛り上がるパターンは、劇作家・本谷有希子さんと映画監督・西川美和さんの“異ジャンル”ダブル受賞だろう」「『鴨川ホルモー』で単行本、映画ともにイケイケの万城目学氏でやっぱり決まりでは」…。

頭の中では、ケンケンゴウゴウ、かくかくしかじか…。取り留めもない議論がぐるぐる回る。早く予定稿を12人全員分そろえなければ…。

15日も昼を過ぎ、気が付けば日が傾き始め、両賞の発表会場となる老舗料亭「新喜楽」へ。まさにヒートアイランドと化した汐留から築地へぼちぼち歩いていくと、門前にはズラリと並ぶテレビカメラに三脚。

記者の行列は軽く50人を超えているか。例年よりもテレビカメラの数も多いらしい。「各社、シリンさん受賞シフトか…」。これから自分が大舞台に立つような気になり、手のひらにはじわりと汗が…。

午後6時。記者の行列がどっと動きだし、いよいよ会見場へ。荘厳な雰囲気さえただよう広間で選考過程を想像すると、否応にも緊張感は高まる。待つこと約1時間。

ついに芥川賞選考委員の山田詠美さんが会見場入りし、場内は緊迫。記者、カメラマンともに、かたずをのんで静まり返る。

そして選考の結果、芥川賞はイケメンサラリーマンの磯崎憲一郎氏「終の住処」に。直木賞はノミネート6回目の北村薫氏「鷺と雪」に決定。

「終わってみれば順当な選考だったね」「北村さんの笑顔が印象的だった」…。深夜、部の片隅で開かれた軽い打ち上げの席に流れていたのは、順調に進んだ作業への安堵感。そして、わたしは受賞者の予想をことごとく外したほろ苦さを密かにかみしめていたのでした。(共同通信記者・鈴木 賢)


すずき・けん 1972年生まれ。奈良県出身。名古屋支社、神戸、京都支局などを経て2009年5月から文化部。好きな作家は中島敦、開高健、最近では青木淳悟。音楽家はトム・ヨーク、向井秀徳、おおはた雄一その他大勢。






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