傷ついただけ優しくなれるアラフォーの恋 『風待ちのひと』 伊吹有喜著
2009年07月13日

『風待ちのひと』 主人公たちもさることながら、脇役たちも魅力的
新人賞受賞作を読むのが好きだ。新芽が伸びていくのを応援するのは楽しいです。皆さんも是非!というわけでこちらをご紹介。本書は、第3回ポプラ社小説大賞の特別賞受賞作。
主人公の哲司は、東大卒で銀行に勤めるエリート。仕事と妻との関係に疲れ、「心の風邪」を理由に休職、亡き母の家を整理するために、紀州の海辺の町へ来ていた。そこで出会ったペコちゃん顔の喜美子。自らをオバチャンと呼び陽気に振る舞う彼女もまた、家族を亡くした過去を持つ。39歳同い年。外見も生き方も正反対の2人だが、次第に心と心が通い合っていく-。
哲司と喜美子をつなげるのが、オペラ『椿姫』。道を踏み外した女の歌が、人生の本線から外れた2人を結びつける。
風情豊かな田舎の夏の、セカンドラブ。大人の事情の描写もリアルで、ありそうな感じ。わかっているなぁ、読者が求めているもの。とても完成度が高い。ポスト・恋愛の名手かしら?!
(ポプラ社 1400円+税)=尾崎英子・筆
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