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心を動かす最高の手本 美空ひばり 『悲しい酒』

美空ひばりの『悲しい酒』レコードジャケット
美空ひばりの『悲しい酒』レコードジャケット

この曲と出会ったのは1990年代中盤。

メガデスのツアーで何度も日本に来ていたころです。ファンやレコード会社の人たちからプレゼントでCDやカセットテープを結構いただいて必ず全部聴いていたんですよ。

その中に美空ひばりさんのベスト盤があって、この曲が入っていました。すごくスローで、重くて、悲しくて、切なくて…。そのころ日本語は完ぺきには分からなかったけど、せりふの部分が最高に印象的でした。

僕が日本に来てから、2004年か05年ぐらいだったと思いますけど、相川七瀬さんのツアーに参加して日本各地を回っていました。その時にこの曲がテレビで流れていて、聴いた瞬間に吸い込まれました。

ひばりさんのボーカルと古賀政男さんのギターの「間」が完ぺきで、本当に感動して、もう…、とんでもなく気に入りました!

僕はひばりさんのような表現力がほしくて歌い方を分析しました。

ささやきから叫びにすっと切り替えるのはメチャメチャ難しいと思いますね。ほかの歌手は練習してできるのはできるけど、ひばりさんは自然に歌っている感じがします。

歌い方で特に注目したのは、リズムの「ため」と独特のこぶしです。

こぶしはギターでやると、弦を揺らすビブラート。ほとんどのギタリストはいかにもギターっぽい普通のビブラートしかやらないじゃん。僕は人間の声のビブラートを目指しているから、最高の秘密兵器になっていますね。

『悲しい酒』はひばりさんの曲の中でも暗いと思うけど、僕は暗い曲にかなり興味があるんですよ。ボーカルと楽器だけで暗さをつくるのはすごい。だって、楽器って、楽器という道具でしょ!?

その楽器だけで聴く人の感情を動かすのが僕の「一生の追求」です。

人を泣かせるとか笑わせるとか、もっともっと楽器で感情を揺らしたい。その最高の手本がこの曲です。(マーティ・フリードマン・筆)

Profile プロフィール
Marty FRIEDMAN マーティフリードマン

 マーティ・フリードマン 米国・首都ワシントン生まれ。世界で1千万枚以上のアルバムを売り上げたヘビーメタルバンド「メガデス」の元メンバー。現在は自身のバンドや音楽ユニット「ラヴフィクサー」など、ギタリストとして東京を拠点に幅広く活躍する。J-POP好きを公言し、テレビ番組にも出演。

公式ページ http://www.martyfan.com/

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