星(スター)を背負った人生 『音楽は自由にする』 坂本龍一著
2009年03月30日

『音楽は自由にする』 カバーのドイツ語「Musik macht frei」=音楽は自由にする=音楽をすれば自由になれる
月刊誌『エンジン』で2年にわたって連載していた、聞き書きによる本格的な自伝。
いわずと知れた「世界のサカモト」。音楽にさほど詳しくなくても、彼が天才的なアーティストであることは知っているが、本書を読んで、彼が使命を持って生まれてきた人であることがよーくわかった。
まず、その眼力、言葉選びの正確さに驚く。たとえば-『表現』とは、他者と共有化する形でしか成立せず、個的な体験は抜け落ちてしまう。が、その欠損感と引き換えに、別世界の人とつながる通路もできる-など、独特の解釈で、うなずくことしきり。
自らの思考を表現する言葉の組み合わせも的確だ。坂本龍一という人生から生まれた哲学も、彼が生み出すメロディーのようなのだ。こびのない個人的な感覚であり、それでいて普遍的な真理を内包している。教授、ステキです…。
武満徹のこと。YMOの始まりと確執。9.11との遭遇。今だからこそ話している。ファンでなくても一読の価値あり。
(新潮社 1700円+税)=尾崎英子・筆
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