期待しすぎたか 『ロコモーション』 朝倉かすみ著
2009年03月30日

『ロコモーション』 でも今後が気になる作家です
はじめての作家だからこそ、良いところを見つけたい。吉川英治文学新人賞を受賞した『田村はまだか』は評判がいいし、新刊はどんなものかしらと手に取ったのだが…。
男の目を引く「いいからだ」を持て余しているアカリは、その視線から逃れるように大きなまちに出て、美容師として働く。自由で奇妙な人々との交流、風変わりな恋人との生活によって、抑圧されていた彼女の心は解き放たれていく。
自らではコントロールできない性(さが)に翻弄され、ときにけなげに、ときに狂いながら、アカリは生きる-。
うーん。どこにも行けないフワフワした女のあやうさってことでしょうか。アカリという人間の実体が感じられなかった。3人称で描かれるため、感情移入もしにくい。奥底に押し込んでいたトラウマの扱い方や、心の殻が壊れていく過程がやや雑なのも気になるところ。全体的にもう少し“深さ”がほしい感じ、正直、物足りなかった。期待しただけに…残念。
(光文社 1500円+税)=尾崎英子・筆
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