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モータースポーツ
インディ500は文化 40万人の大観衆

2008年05月07日

4年前、インディ500を制したライスは恒例のミルクを飲む(AP=共同)
4年前、インディ500を制したライスは恒例のミルクを飲む(AP=共同)

現存する世界最古のサーキット、インディアナポリス・モーター・スピードウェーで開催されるインディアナポリス500マイル(通称インディ500)。賞金総額は10億円以上といわれ、決勝には約40万人もの観客が訪れる。1911年に始まり、今年で92回目を迎える。

1周2・5マイル(約4キロ)のコースは、かつて全体がレンガ舗装されていたことから「ブリックヤード」という愛称で呼ばれる。いまでもスタート・フィニッシュラインには、その一部が残されている。

開催期間も長い。大会が始まるのは5月4日のルーキーテスト。インディ500に初出場のドライバーは、どのような経験や実績があろうとルーキーテストを受けなければならない。ただし、このテストをクリアすれば全ドライバーは平等に扱われ、予選の出走順も抽選で決められるのだ。

数回のフリー走行を経てマシン調整を済ませたドライバーたちは、10日に行われる最初の予選「ポールデイ」に出走する。4周=10マイルの平均速度で最速の選手がポールポジションを獲得する。「ポールデイ」を含む3度の予選で24位までのスタート位置が確定する。最終予選「バンプデイ」では、3度の予選で出走枠からはみ出した選手が最後の望みを賭けてタイムアタックを繰り返す。ここでどんなに速いタイムを出したとしても、スタート位置は25位だ。しかし33番目にいる選手は、自分より速いタイムが出れば弾き出されてしまう(バンプアウト)。だからアタックを繰り返すことになる。

こうして長い予選を勝ち抜いた33台のマシンが、25日のスタートを迎える。決勝の朝は、周辺の道路は大渋滞となる。スピードウェー周辺にはグッズショップが並び、あちこちでバーベキューやホットドッグの匂いが立ちのぼる。

そして午後1時、33台のマシンのエンジン音を凌ぐかのような、40万人の観客の歓声が、地鳴りのようにスピードウェーを包み、伝統のレースはスタートするのだ。

今年のエントリーは40台。日本の武藤英紀を含む13人のルーキー、3人の女性、4人の優勝経験者を含むドライバーが、優勝者のみが味わうことのできる伝統のミルクを目指して、予選からの長い戦いに挑む。

レースが終わると、サーキット前の片側3車線の道路は、帰路専用の片側6車線の一方通行となる。住民の理解と協力があってこその、世界最大のスポーツイベントなのだ。

インディ500は、ドライバーやマシンだけでなく、このレースを愛するインディアナポリスの町や市民とともに歴史を刻んできた、紛れもない伝統文化なのだ。あらゆるジャンルを超えて、アメリカ人がもっとも好きなレースといわれている。(モータージャーナリスト・林溪清)