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法衣コスプレと米軍と  地裁立川支部マル秘レポート

 薫風そよぐ5月半ば、東京・八王子から移転したばかりの地裁立川支部に行ってみた。憲法週間ということもあり、お上が「裁判員制度」の広報と支部のお披露目を兼ねた見学ツアーを新聞で募集したのだ。もちろん無料。黒の法衣を特別に着せてもらえる。
 
 入り口で見学キット一式を手渡された。団扇とシャープペンシルには裁判員と印字されている。きっとこれ、傍聴マニアには垂涎(ぜん)の的で、お宝として高額で取引されるのではなかろうか。白い石材をふんだんに使用した建物は「堅牢」と形容するに相応しい。何があっても壊れそうにない。移転前の継ぎはぎだらけだった八王子支部とはえらい違いである。

 職員の先導で通常の裁判、少年審判、労働審判、調停などに使われる部屋を興味津々、訪れた。いかにも裁判所という部屋は少なく、新品のラウンドテーブルが目立った。「一般の人と裁判所の垣根は低いんだよ」と伝えたい気持ちがよく分かった。

 「机や備品は新たに購入していません!古いものを持ってきて使っているんです。もう、こういうご時世ですから経費節減で・・・」と案内係の青年が話し掛けてきた。確かに木製の机には傷がついている。運送費は結構高かったはず。新品を買った方が安くつくこともある。節約しているように見せ掛けて実際は高くついていたら、国民を欺く行為といえるが、ここは相手を信じよう。

 支部で一番大きな法廷に最後に案内された。凶悪犯罪などの大きな裁判で使われるという。順番待ちして黒い法衣に腕を通してみた。ちょっと硬派のコスプレである。壇上の席に座る。被告席、傍聴席、そして検察と弁護側を見下ろす。とても被告人に質問なんてできない。裁判員の広報ビデオに出演したノリピーはどんな気持ちだったのだろうか。

 職員たちは「撮ってあげましょう」と言って、法衣を着た見学者のケータイやデジカメのシャッターを率先して押してくれた。高齢の女性が「キャー」と歓声を上げる。メアドを交換する。もう、ほとんど遠足気分である。だが、ベテラン職員の一人は「壇上からの写真だけは、ご勘弁願います。上から言われていますので」と繰り返していた。

 フワフワした気分で庁舎を後にしたのだが、もともとこの場所には米軍立川基地があった。地元経済も基地に依存していた。今でこそJR立川駅周辺には大手百貨店が進出し、若い女性で華やいでいるが、表通りを外れると米兵相手だったと思われる寂れた飲み屋、場外馬券売り場、パチンコ屋、数は減ったとはいえフーゾク店が軒を連ねている。思い出したように、頭上を米軍横田基地の貨物機がごう音を響かせ飛んでゆく。
 なんていうことを考えていたら、フワフワした気分はすっかり白けてしまった。(47NEWS編集部 大村峰晴、写真は筆者)
2009/08/31  
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