47NEWS誕生③ 人間クロール 【47NEWSの話題】
47NEWSは全国47都道府県にある新聞社49社が出資する株式会社全国新聞ネット(PNJ=林憲一郎社長)が運営するサイトである。出資していない社も含めて52の新聞社が参加している。共同通信社は社団法人であるため出資していない。勘違いをしてはいけない。共同通信のサイトではないのだが、PNJには正社員がいないので、サイトの運営をまるごと共同通信のデジタル戦略チームに業務委託している。
デジタル戦略チームがある汐留のメディアタワー7階に伴がやってきたのは、サイトがスタートする3週間前の12月1日。当時、唯一の編集部員としてサイトの構想論議にも加わっていた畑仲に聞いた。
「俺は何をすればいいんだ」
「そんなこと自分で考えてください」
ぶっきらぼうな対応だったが、不思議と頭にこなかった。畑仲は52社の仲間と2年近くにわたって議論を続けてきて、できること、できないことを知り尽くしていた。52人も船頭がいれば、まとまるものもまとまらない。そんな苦悩の中からようやく47NEWSという概念を生み出していた。
決まっていたのは、52社の記事をクロールして県別に表示することと、ホッとニュース、おでかけ、撮れたてを各社が毎日入力することだけだった。
なるほど、これから真っ白なキャンバスにみんなで絵を描いていくんだ。頭の中をそう整理するとすっきりした。
主要ニュースは共同通信の記事が時系列で並ぶのだが、入力画面から、重要なニュースを手入力で差し込んだり、トップニュースを固定することだけはできるようになっていた。
地方紙の記事を一つのサイトに盛り込むことができたら面白いページができるのに。10年前から漠然とそんなことを考えていた。まさか自分がその役割を担うことになるとは思っても見なかった。当時チームリーダーだった中川から声がかかったときは正直嬉しかった。
共同も悪くない会社だ。自分が考えていたことを実現させる部署にちゃんとつけてくれた。そんな思いでデジタル戦略チームにやってきたのだが、さて自分に何ができるか。畑仲とたった二人で何ができるか。毎日デスクに座って、考えた。
52社のサイトを毎日眺めているとおもしろい記事だけではない。ひょっとすると大手紙が見逃している地方からの発想が多くあることに気づいた。キーワードは「地方からの発信」。そう決めて、畑仲に相談した。
「52紙のサイトを毎日、はしから読んでニュースを選び、主要ニュースに入れようよ」
「えー、52紙全部、毎日ですか」
「そうだ。あるんだよ。けっこう」
「僕も気づいていますが、2人しかいないんですよ」
「そこなのだ。だけど47NEWSを差別化するには地方紙のコンテンツしかないと・・・」
「やりましょう。やってみましょう」
「ありがとう。無理はしなくていい。日に5本とかでいい。読者になるほどといわせるものを選んでほしい」
これで決まった。47NEWSは52紙のサイトから日々1000本の記事を機械的に持ってきている。これをクロールという。われわれがこれからやるのは「人間クロール」なのだ。人間がコンピューターの代わりにサイトを隅から隅まで探すのだ。
「畑仲、おもしろくやろう。テーマは“驚き”と“怒り”だ。そして議論しよう」
横でわれわれの会話を聞いていた中川は大きくうなずいた。
(編集長 伴 武澄)
投稿者 47news : 2008年06月11日 12:06
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