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2008年03月27日

自暴自棄の時代

 茨城県土浦市で23日、24歳の男が8人を殺傷した。男は前日「たまたま見かけた」男性を殺害。調べに対し「駅で7、8人を殺そうと思った」などと供述した。詳しい動機などは不明だが、無差別殺人を計画していたとされる。25日、JR岡山駅で男性を突き落として死亡させた18歳少年は「人を殺せば刑務所に行ける」と動機を述べた。

 ここ数年、こうした「自暴自棄」ともいえる事件が目立つように思う。2004年に奈良県で起きた小1女児誘拐殺人事件で死刑判決を受けた男は、公判で反省の態度を見せず「早くこの世とおさらばしたい」と述べた。昨年、親類2人を殺害し現金を奪ったとして死刑判決を受けた男は「破滅するため、恨みのあるやつを殺して自殺しようと思った」と公判で述べた。最も典型的なのは2001年、児童8人を殺害した池田小事件で「捕まえて死刑にしてほしかった」と供述した元死刑囚だろう。

 共通するのは、社会に対する不満、というより、怒りだ。もちろん、それは自分勝手で筋違いな感情だが、本人にとってみれば「自分は恵まれない境遇に置かれている。それは(自分のせいよりも)、他人や社会のせいだ」ということになるのだろう。その結果「社会との無理心中」とでもいうべき行動に走る。

もちろん、責任は間違いなく本人にある。しかし、では、こうした事件を発生させたこの社会には何も問題はないのだろうか。学歴や家柄、経済的条件などに基づく社会の壁は依然厚い。それに加えて、圧倒的に広がる格差…。そうした要素は犯罪にも結びつく。逆に言えば、どんな残虐非道な事件でも、そこには何か、社会的な要因があり、有益な示唆が含まれているかもしれない。今回の2つの事件も「異常な若者による異常な犯罪」と片付けるのではなく、そこからわずかでも教訓を導き出し、人々の幸福に還元する─。それが社会の責任ではないだろうか。(47NEWS編集スタッフ 小池新)

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2008年03月24日

アメとムチを織り交ぜた租特法改正法案のずるさ

 政府が提出したガソリン税の暫定税率延長を含めた租税特別措置法改正案が3月中に参院を通過しないと、ガソリン税軽減が実現する。

 ガソリン税など道路特定財源の問題の第一はそれぞれに暫定上乗せ期間が長期化していること。第二は道路特定財源となってあまりにも長い時間が経っていること。第三には暫定税率維持のために「租税特別措置法」を活用していることである。

 租税特別措置法は「ある税法」を「当分の間」、「減免する」ことを目的としている。当分の間については議論があるが、最大でも5年とされている。これまでも延長の際の最長は「5年」だった。今回はそれを10年延長しようというのだから、法律の精神を逸脱しているといわざるを得ない。

 一番の問題は、第一でも第二でもない。増税と減税を織り交ぜて国民生活に密着した暫定税率の改定を「一本」の法律として提出されることである。これまで、毎年、「生活に密着した」改正であることを理由に年度内に国会を通過することが慣行となってきた。つまり「アメ」を同時に示される「ムチ」も受けれざるを得ない。ここに大蔵省時代からの官僚のずるがしこい知恵が埋め込められているのだ。

 だから野党も、予算案の国会通過を引き伸ばすことはあっても、租税特別措置法改正案だけはほとんど年度内に通過させてきた。

 しかし、誰が知恵を入れたのか、今回だけは違う。昨年の民主党の参院選圧勝直後から、参院での否決策が打ち出された。

 3月31日まで、参院で通過しないと影響が出る主な税制を以下の表にまとめた。一番影響が大きいのは石油化学の原料となるナフサの非課税措置ではないかと思う。だが消費者に直接影響があるのは海外旅行のみやげのたばことお酒の税金の「増税」と不動産取引の際の登録免許税ぐらいで、あとは企業の問題。民主党としても審議拒否しやすい環境にあるといっていい。

暫定税率継続 31日で失効すると
海外旅行者の
紙巻たばこ持ち込み
1本当たり4円
たばこ税
1本当たり8円弱の
たばこ税と消費税
海外旅行者の
ウイスキー持ち込み
1リットル当たり
酒税500円
1リットル当たり
酒税400円と消費税
土地の売買の際の登録免許税 不動産価格の1% 不動産価格の2%
石化ナフサなどの輸入 無税 1キロリットル当たり
2.04円の石油石炭税
オフショア市場の利子課税 無税 利子課税15%
レポ取引の利子課税 無税 利子課税15%
交際費の損金算入 中小企業のみ 大企業に拡大

 ちなみに「交際費の損金算入」を大企業に認めない措置は租税特別措置法が成立した昭和32年から「暫定措置」が続いている。日本で一番長い「暫定」の概念であることを知っておいても損はない。(47NEWS編集長 伴 武澄)

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2008年03月17日

なぜガソリンより軽油税が安いのか

 ガソリン税の特定財源が問題となっている。メディアの多くは「特定財源」としていることを問題視している。問題がないわけではなく、大いに問題がある。同時に「暫定税率」も問題である。問題は二つだけでない。ガソリン税と軽油取引税の区別も先の二つに劣らず問題なのである。

 ガソリン税が基本的に国税で軽油取引税が地方税なのはどうしてなのか。またガソリンがリットル当たり53.8円なのに、なぜ軽油は31.1円と安いのか。だれもこうした疑問に応えてくれない。

 ガソリン税は1949年に創設され、53年に特定財源化された後の56年に軽油取引税が初めて課税された経緯がある。56年といえば、高度成長の入り口にあたる時期。軽油はディーゼルエンジン向けの燃料だったため、ガソリンより低く抑えられた。

 それから50年以上が経ち、日本経済は産業中心から消費者中心に軸足を移したはずである。そうであるのに、税の哲学が50年前のままではどうしようもない。

 特定財源の問題をどうすればいいか。まずはガソリン税と軽油取引税を同じ水準に置くべきだと考えるがどうだろうか。1リットル当たり税率を軽油の31.1円にまずあわせるのが第一。次いで暫定税率を廃止してそれぞれの税法の「本則」部分を改定するのが第二。税率つまり税収の予想が確定したところで、特定財源の指定を廃止すればいい。

 47NEWS編集長 伴 武澄

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2008年03月14日

ミャンマーから今年のソバ到着

 ソバの産地である信州がなんでミャンマーからソバを輸入しなければならないのか。

p_soba.jpg 話は簡単ではない。ミャンマー北部、ラオスとタイと国境を接する一帯は古くから「ゴールデントライアングル」と呼ばれ、ケシ栽培が続けられてきた。19世紀から英仏、清国が食指を動かし、少数民族の抗争の場ともなってきた。

 というより、順番は逆で、紛争地帯=無法地帯となり、各国が禁止するケシ栽培の格好の供給地となったのである。

 ミャンマーでのソバ栽培は、この麻薬撲滅運動から始まった。ケシは高原に住む少数民族の換金作物となっていたため、ケシ栽培をやめさせるには代わりの農作物の栽培とそれを長期安定的に購入してくれる販売先が不可欠だった。

 1996年、ミャンマー政府から日本政府に要請があり、「ソバをケシの転換作物にし、できたソバは日本が買い取る」という日本の海外援助計画のアイデアがまとまった。先進諸国が民主化を要求、経済制裁をしている中でミャンマーのケシ撲滅と取り組んだ最初の具体的なプロジェクトだった。(NPO法人アジア麻薬・貧困撲滅協会)

 以来12年、プロジェクトは民間に移管され、行きつ戻りつが繰り返され今も続いている。

 現在の作付面積は約1000ヘクタールで、この冬は推計約500トンを収穫。今年は72トンを輸入する。同法人は5年後に1万ヘクタールの作付けを目指している。今年4月には現地で06年から生産している焼酎を初めて1万2000本輸入。「ミンガラ・バー(ビルマ語で「こんにちは」)」のブランド名で県内を中心に売り出す計画だ。(信濃毎日新聞)

 諏訪にミャンマー産ソバ 支援NPO輸入「高い品質」 【信濃毎日新聞】

 輸入品だからといってミャンマーのソバを忌避してはいけませんよ。
 (47NEWS編集長 伴 武澄)

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2008年03月12日

議事録削除、なんでやねん   

 公人が公的な場でおこなった発言を、議事録から安易に削除してよいのか。そんなことを考えさせられる騒動が大阪で起こっている。

▽ 民主府議に「卑怯な大人」 橋下知事答弁の議事録削除、3度目の異常事態 2008.3.12【産経新聞】

 問題の核心は、大阪府の橋下知事が大阪府議会でおこなった“問題発言”を、議会が議事録から削除してしまったこと。これにより、橋下知事はそのような発言をしなかったという“事実の捏造”がおこなわれたと考えてしまうのは大げさだろうか。

 国会や地方議会の議事録はなんのためにあるのか。かしこい中学生ならば「選挙で選ばれた人たちがきちんと仕事をしていることを知るため」と答えるかもしれない。高校生か大学生くらいになれば「有権者の意志を反映した統治を確保するために不可欠」と言うかもしれない。大阪のおばちゃんなら「わたしらの見てないところで、何をコソコソしてるねん!議会でなにがあったのか、府民に公開せなんだら、税金払わへんで!」と怒り出すかもしれない。

 論戦のなかで失言や問題発言が飛び出すことは、議会がちょっぴりヤンチャで元気な印。しかし公的発言を安易に操作すれば、議会は病んでしまう。(47NEWS編集デスク 畑仲哲雄)

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2008年03月10日

四十八茶、百鼠

 江戸時代、贅沢を禁止され、灰色や茶色といった地味な色合いの服地の着用を余儀なくされた町民たちが目指した粋の先に微妙な変化の色彩文化が育まれた。

 百もの鼠色の違いが分かるのかと問われても答えようがない。しかし、「桜鼠」(さくらねず)と書かれるとなるほどイメージがわくではないか。

 茶色では「利休色」、「藍墨茶」。利休の着用していた帽子の色なのか。茶色に一滴、藍を落とした色ではないか。想像をたくましくすることができる。

桜 鼠 利休色 藍墨茶

 たくさんの色を並べて見るのは楽しいことだ。子ども時代に色鉛筆のセットは12色あった。ぜいたくなセットは24色だった。たくさんの色鉛筆を持つことが楽しかった。本物の色の違いを見比べるのも楽しいが、言葉の上で色を思い浮かべるのも実は悪くない。

 吉岡幸雄著『日本人の愛した色』(新潮選書)を読んで、日本の色を一つひとつ自分のものとして覚える楽しみが増えた。

PN2008030301000405.-.-.CI0002.jpg ここからは蛇足。コンピューターは何百万もの色を表現することができる。ウエブで日本の色を表現できたらと考えた。1000足らずの日本の色を表現するのは難しいことではないはずだ。瞬時にそう思った。が、おっとどっこいそう簡単に問屋はおろしてくれなかった。

 日本の色の見本を見せるウエブページはいくつも見つかった。それらのページをたんねんに見ていって、ウエブにはすでに限界があることを知らされた。

 東雲色(しののめいろ)と曙色(あけぼのいろ)の色表示コードはともに「#f19072」。紅掛空色(べにかけそらいろ)と紅碧(べにみどり)もともに「#8491c3」であることが分かった。色表示コードは6桁、アルファベットのa-fと数字の1-10で表示するから数十万の組み合わせがあるはずだが、日本の色の微妙な違いを表現できないのである。

東雲色 曙色 紅掛空色 紅碧

 47NEWS編集長 伴 武澄

 

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2008年03月07日

賀川豊彦『一粒の麦』が再販

00862066.jpg

 賀川豊彦『一粒の麦』が、イエスの友会三河支部やみかわ市民生活協同組合の関係者らによって再販された。1983年に社会思想社が発行した文庫本を最後に絶版となっていた。

 「一粒の麦」は、賀川が明治40年から療養のため過ごした豊橋、蒲郡、旧津具村での体験を雑誌に連載。昭和31年に単行本として出版された。農村振興や友愛の精神をうたい、220版を重ねるベストセラーに。1932年には無声映画としても公開された。

 賀川豊彦は、100年前、肺病を病みながらも残された短い人生を貧民窟の人々のために尽くそうと考えた。彼らとの生活の中から、社会改革の必要を痛切に感じ、神戸の三菱、川崎造船所で日本初のストライキを指導。その後、消費組合、農業組合などを次々と立ち上げ、社会運動家として一躍、時代の寵児となった。

0001.jpg
 特に『一粒の麦』の主題となっている農村問題では、果樹や畜産、軽工業などの適地適作をしたり、遊休地などの有効利用で食糧の確保を図る「立体農業」の理念を広めたりした。

 1920年に発売された自伝小説『死線を越えて』は3部作で400万部もの売り上げを記録、爆発的人気を博した。巨額の印税を私的生活には使わず、労働運動など賀川の活動資金として費やされた。

 賀川豊彦の小説を再販 「一粒の麦」24年ぶり 【神戸新聞】

 (47NEWS編集長 伴 武澄)

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2008年03月03日

2007年の広告費  

 電通が発表した「2007年 日本の広告費」によると、新聞広告費(前年比94.8%)を筆頭に、マスコミ4媒体が3年連続で前年を下回ったのに対し、インターネット広告費(同12.4%)と高い伸びを示した。この時期、電通の発表に接するたびに新聞の広告価値が毎年問われている感じがして、頭が痛い。日本の広告費が頭打ちとなっている中で、新しいネットサイトにどんどん広告費が流れ込んでいるのが実態なのだ。

 90年代、インターネットが登場した時、「ニュースはただになる」という感慨を持ったことがある。昔も今も民放は無料でニュースや娯楽番組を流してきた。お金を取ってきたのは新聞とNHKだけである。

 ニュース取材や番組制作には膨大な経費がかかる。その負担を新聞代や視聴料という形で消費者に分担してもらっていた。民放は広告費で膨大な経費をまかなってきた。

 新聞の場合、取材費だけでなく、新聞紙、インク、輪転機の費用に加えて、宅配の経費もかかっている。ニュースそのものの経費より新聞紙にして家まで配達する経費の方がよっぽど大きい。

 インターネット時代は「中抜き」の時代といわれる。アマゾン・ドット・コムのように書籍流通は町の本屋さんの存在を危うくさせている。飛行機やホテル・旅館など予約はネットを通じることによって旅行代理店に大きな打撃を与えている。

 同じことが新聞業界にも来るのだとずっと思っている。消費者が新聞を読むことをやめるわけではない。紙で届けられるメディアがなくなるとは思っていないが、経費の半分を担ってきた広告が減ることによって新聞社の経営が難しくなる日が近づきつつある。(47NEWS編集長 伴 武澄)

広告費の推移     (単位:億円) 
2000年 2005年 2006年 2007年
新聞 12,474 10,377 9,986 9,462
雑誌 4,369 4,842 4,777 4,585
ラジオ 2,071 1,778 1,744 1,671
テレビ 20,793 20,411 20,161 19,981
インターネット 590 3,777 4,826 6,003

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2008年03月01日

折田先生像に見る京大生気質

P2008022500094.jpg すべての大学には建学の精神を受け継ぐ学風がある。名門・京都大学では、この学風がいまもしっかり息づいていることが、このほど京都新聞で報じられた。

▽「てんどんまん」に大変身 京大の折田先生像 受験生を出迎え[京都新聞 2008/02/25]

 「折田先生」とは、京都大学の前身である旧制三高の初代校長を務め、自由な学風を作ったとされる折田彦市氏。キャンパスには、長らく「折田先生像」が置かれていたが、いつのころからか、京大生が折田先生の像にいたずらを始めた。これが自由の気風を受け継ぐ京大生たちのチャレンジ精神?をかきたて、年々エスカレートした。

 だれが運営しているのか知らないが、「折田先生を讃える会」や「折田先生(像)史(Ver.2.1)」というウェブサイトでは、ここで折田先生像に対する過去のいたずらの歴史が紹介されている。diary2003030601.jpg

▽折田先生を讃える会
▽折田先生(像)史(Ver.2.1)
▽京都大学 高等教育研究開発推進機構

 このほか、京都新聞が2003年3月に掲載した「フォトダイアリー」には、ゴルゴ13に改作された折田先生像の写真が掲載されている。キャプションは「京大の象徴?」である。

▽京大の象徴? フォトダイヤリー[京都新聞 2003/03]

 天国の折田先生は、どのような思いで学生たちのいたずらを眺めているだろう。(ソリティアン)

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