「昭和」の香り漂うオムライス
2009/10/05
兵庫
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口の中に「昭和」が広がるオムライス |
ラブ度: ★★★★
野坂昭如の小説『火垂(ほた)るの墓』の兄妹が、母親を捜し歩く途中、焼け野原にぽつんと残る建物を目にする。1933年(昭和8年)に建てられた御影公会堂だ。実際に空襲、水害、震災などたびたび災禍に見舞われたが倒壊は免れた。その地階に、公会堂と同じ年月を重ねる「御影公会堂食堂」がある。
日差しの強い昼下がりに汗をぬぐいながら建物に入ると、ひんやりした空気に包まれた。クラシカルな階段を下り、扉を開けると、いよいよ昭和初期にタイムスリップしたような気分になる。
高い天井、太く丸い柱、なだらかなアーチを描く梁。壁に掛けられた油絵。大きな窓からは柔らかな光が差し込み、地階といっても意外に明るい。ハヤシライスやエビフライなどが並ぶメニューは町の洋食屋さんのものだが、店内は気品漂うレストランの趣だ。
少しリッチな気分になって名物のオムライスを注文する。オムライスは皿半分よりやや片側によったポジションに置かれ、トマト主体の自家製ソースをせきとめた形で盛りつけられている。チキンライスを卵で完全に包み込むオールドスタイルだ。
ほお張ると、ソースのほどよい酸味とともに、ふわふわ玉子とチキンライスが溶け合っていく。味付けは全体的にあっさりで、卵に混ぜものはないという。チキンライスの具は鳥肉、タマネギ、マッシュルームと本当にシンプル! 口の中で、3つの食材がそれぞれ控え目に持ち味を発揮し、卵、ソースと絶妙なバランスを保っていた。まさに昭和の洋食屋さんの逸品である。
ケチャップたっぷりのライスに慣れた舌にはパンチが弱いが、女性、お年寄りには優しい味だろう。ボリュームも若い男性にはやや物足りないかもしれないが、中高年には腹八分目でちょうどいい。食べ終わると、気持ちがほっこりする。
「野坂さんも何度か店に来てくれはった」と2代目店主の鈴木利裕さん(77)。小説の兄妹が体験した神戸大空襲に自身も遭遇した。店内には藤原紀香、木村佳乃、米倉涼子らのサインが並ぶ。第二次大戦前後のタカラジェンヌを描いたドラマの収録時のものだ。戦争の生き証人の建物と、今をときめく女優たちの妙なマッチング感も心に残る。
【後藤 剛 (神戸新聞社 メディア局デジタル情報部)のエントリー】
お箸でいただく「かつめし」(兵庫県加古川市) 2009年09月07日
【ニッポンのGOHAN 兵庫県関連のエントリー】
のり巻き食べて、やけどした(神戸市) 2007年07月19日 text:いのセント@神戸
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神戸洋菓子職人-【神戸新聞】
ワンダフルコウベ2009 Website 神戸のおいしい朝・昼・晩-【神戸新聞】
ワンダフルコウベ2009 Website 編集スタッフブログ
| 神戸新聞メディア局デジタル情報部 後藤 剛 |2009/10/05|10:00| コメント (0) | コメントを書く
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