47NEWS >  地域ニュース >  ニッポンのGOHAN >  和食系  >  名取のセリは主役です
記事検索

名取のセリは主役です

2008/12/08

宮城

うどんとセリを入れ、セリしゃぶはいよいよクライマックス

ラブ度: ★★★★★

 

 
寒い季節に 野菜不足に 飲みの締めに

 セリしゃぶ。地場産品を使い、人気上昇中の宮城の料理を紹介します。地元の気候風土の中で昔から生産されてきた農産物を大事に継承していこうとする農家、そんな地元の農産物を使い、郷土に根差した料理でお客さまをおもてなししようという料理店。地産地消を見事に体現した逸品です。

 私が前回紹介した赤貝どんと同じ名取市内に、江戸時代から続くセリの産地があります。閖上漁港からそんな遠くない、やや山寄りに入った上余田(かみよでん)・下余田(しもよでん)地区。仙台市から東へ向かった石巻市と合わせると、宮城県は国内でも有数のセリの産地です。
下余田地区で農業を営む三浦隆弘さん(29)。熱く生産に取り組み、地産地消の普及や環境意識の向上にも力を入れています。「たんぼの生き物を増やしながらの栽培に取り組んでいます」。三浦さんは、できるだけ農薬や化学肥料を使わず、環境を守りながら地場に根差した農業を心がけているのです。

20081205_%E7%9A%BF%E3%81%AE%E4%B8%8A%E3%81%AE%E3%82%BB%E3%83%AA.JPG
皿いっぱいの新鮮なセリの山。
土鍋を温める炎が
食する気分を盛り上げます

 そんな三浦さんが作ったセリを使ってセリしゃぶのメニューを提供しているのが、JR仙台駅近くの横町で飲食店「いな穂」を営む稲辺勲さん(54)。「地元の農産物を応援したい。店では安心できる素材を使いたい」と、三浦さん同様熱く語ります。

 セリしゃぶのメニューは、セリだけでもおいしく満足感があるのですが、一緒にたまごとうどんがつくので、お酒とほかの料理を味わった後の締めの注文がベストタイミングです。
根っこから葉の先まで、食べない部分はありません。お皿にこんもり山となったセリの緑色が、目にみずみずしく映ります。傍らには卓上コンロと研究に研究を重ねただし汁が入った土鍋。だし汁が熱くなったころあいを見計らい、セリを食します。煮込まず、だし汁をさっとくぐすだけで大丈夫。根っこ、茎、葉と順々にはしを伸ばし、食べていきます。セリのシャキシャキっとした歯ごたえと香り、そしてだし汁の味わいが、口の中に広がり、鼻をくすぐります。

 セリにはこんな食した方があったんだ。冬の鍋物、朝食夕食の味噌汁に欠かせないなあと、昔からセリが大好きでしたが、目からうろこが落ちました。こんなにシンプルで、セリの持っている特長を見事に引き出した食べ方があったのか。

 いな穂を訪れるお客さんの一人は「セリはいつも脇役だと思ってきた。セリしゃぶを食べるまで、主役になれるなんてイメージできなかった」と感嘆の声を上げたそうです。初めて食べたお客さんの反応のほとんどは感動と驚き。2004年の冬からセリしゃぶをメニューにしていますが、毎年冬になると店にやってくるセリしゃぶの常連さんまでいるといいます。

 セリをあらかた食べてしまうと、稲辺さんが厳選した白石市のうどんとたまごが登場します。少々残しておいたセリとうどんを鍋に入れ、熱々でいただきます。おなかが大満足となることは請け合いです。

 こうした人気のセリしゃぶですが、お客さまに満足してもらうまでには、稲辺さんの苦労の積み重ねがありました。だし汁が今の味にたどり着くまでにも随分と試行錯誤を繰り返しました。だし汁はカツオと昆布、鴨肉を使って深みのある味わいに仕上げています。日々のセリの下ごしらえも、はけを使い、根の泥をきれいに落とすのにそれこそ根気のいる作業がいります。セリの準備に手間暇がかかるため、一日に提供できるセリしゃぶの数量は限られてきます。締めのうどんも、今年は去年まで使っていたものとは違います。稲辺さん自身が、特産うーめんで有名な宮城県白石市に出向き、ある製造所で出会い、実際に食べておいしいと感じた生うどんを、この冬から採用しました。

 カウンターやテーブルに置かれたメニューには、地場産品を盛りたてようと、三浦さんの顔写真やおいしそうなセリの写真を使ったデザインです。もちろん、ほかのメニューでも宮城県内の畜産物、海産物を大いにPRしています。

 名取のセリは来年3月ぐらいまでが収穫期。三浦さんによると、なかでもおいしい時期は、1年で最も寒い季節の2月、3月。みなさん、これから旬のセリをどうぞお楽しみください。


GOHAN@ふらっとA |2008/12/08|10:00


お店情報

地図はこちら

店名いな穂


住所仙台市青葉区中央1丁目8-32
営業時間午後5時~午前零時
定休日毎週日曜日
連絡先022(266)5123
値段1人前1,000円、2人前1,800円


最新記事

もっとみる>>

新聞社の(食)特集