二つのホッキ飯
2007/06/08
宮城
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「いそ藤」のホッキ飯。目も楽しませてくれる。 |
ラブ度: ★★★★
太平洋に面した福島県相馬地方では、大雪が降った翌日、砂浜にホッキ貝がたくさん打ち寄せられ、われ先にと拾い集める人たちでにぎわった。雪解け水で海がかき混ぜられ、ホッキ貝が姿を現すのだという。子どものころに聞いた話である。本当にホッキ貝が打ち寄せられるものなのか、雪解け水が原因なのか、定かではない。
しかし、ホッキ飯は時々口にすることができた。浜に住む伯母が作ってくれたのだ。口は悪いが料理の才に恵まれたこの伯母のホッキ飯は絶品だった。細く切ったホッキとニンジンなどが甘辛く味付けされ、しょうゆ色をしたごはんに混ぜ込まれている。色合いはあまり良くないが、口の中に広がる豊かな味のハーモニーは今でも鮮明によみがえる。
伯母にちょっと悪いなと思いながら、仙台市の活魚料理の店「いそ藤」で、ホッキ飯を作ってもらった。魚料理が上手な親方だが、毎日の品書きにあるわけではないホッキ飯はどうだろう。しかし、それは杞憂。ホッキ飯も、やはり名人級の味だった。
ホッキのピンクとミツバの緑、ネギの白が目に訴える。ホッキをかむと、じんわりと甘味が広がる。上品な味付け。「浜の方ではしょうゆで味を付けますよね。これは塩。しょうゆはちょっとだけ」と親方は言う。
いま、高齢で体調も崩している伯母に、この親方のホッキ飯を食べさせたらどうだろう。勝ち気な伯母のこと、「どんな料理上手が作ったか知らないが、ホッキ飯というのは、こういう味ではいけない。わたしの作るホッキ飯が一番うまい」という趣旨の言葉が返ってくるに違いない。
それでもいいから食べさせてあげたいものだが、それはかないそうにない。
ホッキ飯は前日までに予約が必要。食べられるのは梅雨明けごろまで


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