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特集

富士通マネジャーはあの「山の神」柏原竜二さん

2017/10/03 【企画特集】

箱根駅伝で活躍し、現在はXリーグ富士通のマネジャーを務めている柏原竜二さん(右)にインタビューする筆者=写真提供・塩田博さん、10月1日・ヤンマーフィールド長居
箱根駅伝で活躍し、現在はXリーグ富士通のマネジャーを務めている柏原竜二さん(右)にインタビューする筆者=写真提供・塩田博さん、10月1日・ヤンマーフィールド長居

箱根駅伝で活躍し、現在はXリーグ富士通のマネジャーを務めている柏原竜二さん(右)にインタビューする筆者=写真提供・塩田博さん、10月1日・ヤンマーフィールド長居

 あ、柏原だ―。
 そう、箱根駅伝では4年連続で東洋大学の5区山上りを担当し、「山の神」と呼ばれた、あの柏原竜二さんのことである。


 彼の姿を10月1日、大阪のヤンマーフィールド長居で見た。しかし、陸上とは関係がない。それはアメリカンフットボールの試合だった。
 彼はいま、Xリーグの強豪・富士通フロンティアーズのマネジャーとしてチームのために働いている。


 柏原さんは東洋大を卒業後の2012年に富士通に入社、フルマラソンで日本のトップを目指した。
 15年にはシドニーで初マラソンに挑戦、2時間20分45秒の記録を残している。
 しかし、度重なるけがもあって今年3月いっぱいで陸上部を退部、現役生活にピリオドを打った。


 4月からはそのまま富士通に残り、会社員としての生活がスタートしたのだが、現役引退後、会社からこう申し渡された。「アメフトのフロンティアーズのマネジャーとしてチームをサポートしてください」
 この話をもらった時、柏原は面食らったという。「本当にびっくりしました。それまでアメフトのことは知りませんでしたから」


 まさにゼロからのスタート。それ以来、一つ一つアメリカンフットボールの仕事を覚えていく生活になる。今では競技の魅力にも目覚めた。


 「アメフトは、究極の〝騙し合い〟だと思います。相手の裏をかいて、有利に試合を進める。知れば知るほど、面白いですね。富士通は、ファンダメンタル(基本)を大切にするチームですし、何より選手たちの人間性に魅力があります」


 試合当日も忙しい。富士通には9人のマネジャーがいるが、柏原はチームの荷物の積み降ろしから、サイドラインの準備を手伝い、その合間を縫って私の取材にも対応してくれた。
 試合中もフィールド上で戦況を見守ったが、この日はパナソニック・インパルスのディフェンスが機能し、富士通に手痛いミスが続いて、パナソニックが24対9で勝利。富士通は今季、初めての敗戦を喫した。


 これまで、選手たちのセカンドキャリアを幾例も見てきたが、引退後に違う競技のスタッフに転身する例は珍しい。
 しかし、まだ20代の柏原さんにとっては貴重な経験になりそうだ。


 「極論すれば、陸上は個人の力で強くなれる可能性があります。アメリカンフットボールの場合は、本当にチーム力が試されるんです。そのなかでもスタッフの仕事が重要だということが、半年携わってみて分かりました」
 フィールドでの「いい仕事」が、これから見られるようになるだろう。


生島 淳(いくしま じゅん)のプロフィル
 1967年、宮城県気仙沼市出身、スポーツジャーナリスト。五輪や、米国のプロ、大学スポーツなどを中心に執筆。著書に『箱根駅伝』(幻冬舎新書)など多数。また、メジャーリーグ、広島カープで活躍した黒田博樹投手らの本の構成も担当している。


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