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コラム

QBは不作、注目は守備選手 NFLドラフト〝いの一番〟指名権はブラウンズ

2017/04/21 【生沢浩】

守備選手に注目が集まる中、NFLのドラフトで指名を待つノースカロライナ大のQBトルビースキー(AP=共同)
守備選手に注目が集まる中、NFLのドラフトで指名を待つノースカロライナ大のQBトルビースキー(AP=共同)

守備選手に注目が集まる中、NFLのドラフトで指名を待つノースカロライナ大のQBトルビースキー(AP=共同)

 NFLの春の最大行事であるドラフトがいよいよ近づいてきた。今年は4月27日から3日間の日程でフィラデルフィアで行われる。
 最近2年間は1、2位指名がともにQBというドラフトが続いたが、今年はこのポジションの人材が乏しく、むしろディフェンス選手に注目が集まっている。


 ディフェンスで常に注目を浴びるのはパスラッシャー(DE、OLB)とCBだ。いずれもパス偏重といわれる現在のオフェンスに対抗するために重要なポジションだからだ。
 今年は特にこれらのポジションに有能な選手が多いとされ、上位指名権を持つチームは他のチームの動向を見据えながら人材の発掘を目指す。


 今年の全体1位指名権を持つのは昨季1勝15敗だったブラウンズだ。1999年にチームがリーグに再加入(旧ブラウンズは1995年にオハイオ州クリーブランドからメリーランド州ボルティモアに移転して現在のレーベンズに)して以降、トップ指名権を持つのはこれが3度目だ。
 また、昨年のドラフトでイーグルスと交換トレードしたために今年は1巡12番目でも指名権を持つ。なんとも贅沢な1巡なのだ。


 ところが、ブラウンズはこれまでの1巡指名であまり成果をあげていない。過去2回の全体1位指名(1999年のQBティム・カウチ、2000年のDEコートニー・ブラウン)はいずれも期待外れに終わった。
 今年のように1巡で二つの指名権を保持したシーズンも過去に4回あったが、オールプロに成長したOTジョー・トーマス(2007年全体)と昨年先発に定着したDTダニー・シェルトン、Cキャメロン・アービン(ともに2015年)以外はほとんど貢献がないままに終わった。


 なかでもQB指名は外れが多い。1999年以降で1巡指名したQBはカウチ、ブレイディ・クィン(2007年)、ブランドン・ウィーデン(2012年)、ジョニー・マンゼル(2014年)らだが、彼らの通算の勝敗は33勝71敗(勝率31・7%)だ。勝ち越しの成績を残したQBは一人もいない。
 チームの顔として長期に活躍できるQBを「フランチャイズQB」と呼ぶが、ドラフトのみならずトレードやフリーエージェントでもそれにふさわしい人材を獲得できていないところにブラウンズ低迷の一因がある。リーグ復帰後にプレーオフに出場したのは2002年だけだ。


 今年の全体1位指名はドラフト候補生の中で最高のタレントとされるDEマイルズ・ギャレット(テキサス農工大)に行使すると予想される。
 ギャレットはスピードとクイックネスに長けたパスラッシャーで、即戦力の実力を持つと評価されている。今年から守備コーディネーターに就任したグレッグ・ウィリアムズのアグレッシブなスタイルにうまくフィットする選手だろう。手堅い指名だと思われる。


 気になるのは12番目指名権だ。これをいかに使うかは重要だ。補強の急務なポジションに行使するという選択はもちろん、この順番の指名権を必要とするチームとトレードを行い、1巡の中で指名権を下げる代わりに2巡以降の指名権を増やす、もしくは来年の1巡指名権を獲得するという戦略が考えられるからだ。


 指名権利をトレードできるというのは北米4大プロリーグのドラフトの特徴だ。指名権と選手を交換するというケースは皆無ではないが極めて少なく、ほとんどが指名権を譲渡し合う。
 実例を出すと、昨年1巡8番目指名権を持っていたイーグルスはブラウンズの保持していた2番目指名権を獲得するため、昨年の3、4巡指名権、今年の1巡指名権(それが先述の12番目指名権)、来年の2巡指名権を譲渡した(イーグルスはブラウンズの2番目指名権のほか、今年の4巡の指名権を獲得)。


 ブラウンズは昨年の今頃、フリーエージェントで獲得したロバート・グリフィンⅢ世を先発QBに起用すると決断しており、新人QBを発掘したいイーグルスからのトレードの打診はねぎを背負ってくるカモに見えたに違いない。
 しかし、蓋を開けてみればイーグルスはフランチャイズQBとなるべきカーソン・ウェンツをこの指名権で獲得し、ブラウンズはグリフィンⅢ世が開幕戦で故障してチームが低迷するという皮肉な結果を招いた。ここにもQB指名に失敗するブラウンズの失策が見てとれる。


 今年も12番目指名権でQBを指名することはあるのか。不作と言われる今年のQBではミッチェル・トルビースキー(ノースカロライナ大)、デショーン・ワトソン(クレムソン大)、パトリック・マホームズ(テキサス工科大)、デショーン・カイザー(ノートルダム大)、ネイサン・ピーターマン(ピッツバーグ大)らが注目されている。


 二つ目の1巡指名権ではチームは冒険をしたくなる。貴重な1巡指名権が二つあることで、リスクを覚悟で思い切った指名を行うことがあるのだ。
 それを考えるとブラウンズが上記のQB獲得に乗り出す可能性は捨てきれない。ただし、過去の実績を鑑みれば、その冒険が吉と出る確率は低いと言わざるを得ない。


 幸いにと言っていいのかわからないが、ブラウンズはこのオフにテキサンズからブロック・オスワイラーを獲得している。
 オスワイラーは一昨年に故障欠場のペイトン・マニングに代わってブロンコスの先発QBを務めながら、マニングが復帰したプレーオフでは再びバックアップに降格し、昨年移籍したテキサンズでは満足な結果を残せなかった選手だ。


 オスワイラーを先発QBと決めているなら、12番目指名権は他のポジションに行使すべきだろう。しかし、本当にオスワイラーがフランチャイズQBとなるべき人材と考えているのかは疑問だ。
 グリフィンⅢ世で懲りたはずだ。他チームで実績を積めなかったQBはブラウンズでも活躍できるはずはないと。


 筆者がもしブラウンズのGMならこの12番目指名権はトレードに出す。ただし、1巡内での指名権は残しつつ、2、3巡の指名権を増やすのが目的だ。
 そして、新たに得た2、3巡指名権を交換条件に他チームのバックアップQBとのトレードを打診する。


 今年はペイトリオッツのジミー・ガロポロとベンガルズのA・Jマキャロンがこうした際の有力トレード候補に挙げられている。
 筆者ならマキャロンを獲りたい。NFL向きとされるポケットパサーで、パスも正確だ。現在のベンガルズのパスオフェンスの基礎を作ったのは、攻撃コーディネーターとして貢献した現ブラウンズHCのヒュー・ジャクソンだ。適応はたやすいはずだ。


ただ、残念なことにブラウンズとベンガルズの間でトレードが成立する可能性は極めて低い。なぜなら、ベンガルズのオーナーのマイク・ブラウンはブラウンズの初代HCポール・ブラウンの息子だ。
 マイクは父がブラウンズから解雇された時の恨みを忘れずにいて、それがベンガルズとブラウンズのライバル関係の根幹を成している。


 このため両チーム間では、トレードは交渉すら行われないと言われる。ちなみにブラウンズのチーム名の由来は「ポール・ブラウンのチーム」であり、それだけにブラウンズ=ポール・ブラウンという印象が強いのだ。


 ブラウンズのGMサシ・ブラウンは、ドラフト指名権をトレードすることによるQB獲得を否定しているが、それを額面通りに受け止めることはできない。
 オスワイラーでいくのか新人発掘か、それともトレードによる新たな人材獲得か。ブラウンズのドラフト戦略は注目に値する。


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