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コラム

NFL、補強にもチームの特色 FA選手獲得とトレードが解禁

2017/03/17 【生沢浩】

移籍先が注目される、NFLを代表するRBエイドリアン・ピーターソン(AP=共同)
移籍先が注目される、NFLを代表するRBエイドリアン・ピーターソン(AP=共同)

移籍先が注目される、NFLを代表するRBエイドリアン・ピーターソン(AP=共同)

 アメリカ東部時間3月10日午後4時(日本時間11日午前6時)を境に、NFLの2017年シーズンが始まった。同時にフリーエージェント(FA)の資格を持つ選手の獲得やチーム間のトレードも解禁となった。


 今年はケビン・ザイトラー(ベンガルズ~ブラウンズ)、アンドルー・ウィトワース(ベンガルズ~ラムズ)、ロナルド・レアリー(カウボーイズ~ブロンコス)などOLの移籍が多い。
 OLを整備することで戦力向上に成功したカウボーイズやファルコンズの例にならってのことだろう。


 その反面でRBエイドリアン・ピーターソン(前バイキングズ)、CBダレル・リービス(ジェッツ)ら一時代を築いたベテラン選手が未契約のままだ。
 こうした選手は高額な年俸と体力的な問題がネックとなっている。


 常に人材不足のQBでは、昨季ブロンコスからテキサンズに移ったばかりのブロック・オスワイラーがブラウンズに移籍した。
 かつて先発を務めたジェイ・カトラー(ベアーズ)、ジーノ・スミス(ジェッツ)、コリン・キャパニック(49ers)らはどうにか職にありつこうと必死だ。先発にこだわるとオファーが激減するため、バックアップでの契約も視野に入れる必要がある。


 チーム別にみるとバッカニアーズやビルズはFA補強に積極的だ。また、王者ペイトリオッツはトレードを連発してTEドウェイン・アレン(コルツ)、DLコニー・イーリー(パンサーズ)、WRブランディン・クックス(セインツ)を獲得し、更なる強化に余念がない。


 補強策にはGMやHC、オーナーの性格が表れる。ジャガーズは2012年に現在のオーナー、シャヒド・カーンがチームを買収してからFA補強に積極的になった。
 財力のあるカーンはスタジアム改修にも努め、人気、戦力ともに長期の低迷にある状況から脱却するべく投資を続けている。


 上記のようにバッカニアーズ、ビルズ、ブロンコスもFAを活用するチームだ。
 逆にパッカーズやチーフスなどはFAを静観することが多い。チーフスのアンディ・リードHCは自分の戦略に合う選手をドラフトで獲得し、育てることを信念にしている。FAでの獲得は最小限にとどめておく。とてもビジネスライクな人でもあり、長年貢献のあった選手でもFAになってしまうとあっさりと移籍を許してしまう。「去る者は追わず」も彼のポリシーだ。


 レイダーズなどは、オーナー交代によってチーム方針ががらりと変わった。チーム創設者でもあった故アル・デービスは身体能力の高い選手を集めることこそが戦力アップの秘訣と信じていた。
 ドラフトは「オフェンスファースト」で、運動能力の高いスキルポジションの選手を上位指名するのが常だった。スーパーボウルでMVPを受賞した選手がいると食指を延ばし、手当たり次第に集めていた印象だ。


 組織の「ケミストリー」が重視されるフットボールでは、スター軍団が必ずしも強いわけではなく、レイダーズは低迷した。
 しかし、2011年にデービスが死去し、息子のマークが後を継いだことが大きな転機となった。


 マークはGMにレジー・マッケンジーを招聘して人事権を与えた。この点が父のアルとは正反対だ。GMも兼任したアルは何かにつけて人事をコントロールしたがったものだ。
 マッケンジーはドラフトを中心にチームを構成する方針を打ち出した。ただし、アル時代にトレードを乱発した影響で、マッケンジーの就任直後は指名権が足りないという事態に陥った。それでも辛抱強く指名権を活用し、不要なベテラン選手を放出してチームを改革していった。


 その効果がようやく表れたのが昨季だった。ドラフトで指名し、育成した生え抜きとFAで獲得した選手がうまくかみ合い、安定した戦力が整ったのだ。時間はかかったが、成果は大きかった。


 FAをほとんど活用しないチームの代表格はスティーラーズだ。伝統的にドラフトでチームを作り、FAやドラフトによる補強は年に数えるほどしかない。
 このオフにはペイトリオッツのLBドンテ・ハイタワーがスティーラーズとFA交渉を行ったというニュースが流れて驚いたが、結局はペイトリオッツと再契約した。


 ハイタワーにとっては、自分がFA市場でどのくらいの価値があるのかを確かめ、それを元にペイトリオッツと交渉する材料にしたかったにすぎない。
 スティーラーズもそれはよくわかっていたので、具体的な契約は提示しなかったそうだ。このあたりは狐と狸のだまし合いのようなものだ。


 FA制度を使って多くのチームを渡り歩く猛者もいる。元ジェッツのQBライアン・フィッツパトリックなどがそうだ。
 これまで在籍したチームは六つ。肩の強さが武器で、先発もバックアップもこなす器用さが重宝されている。バックアップとして招かれたチームで、いつの間にか先発の座を奪うというしたたかさも持つ。


 もっとも、好調が続かないという欠点があり、それが一つのチームに落ち着くことのできない理由でもある。
 現在はジェッツから解雇されてFAとなっているが、34歳という年齢から、さすがのジャーニーマンもそろそろ潮時かもしれない。


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