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コラム

起死回生の一投「ヘイルメアリーパス」の由来

2017/03/10 【生沢浩】

2シーズンで3回「ヘイルメアリーパス」を成功させた、パッカーズのQBアーロン・ロジャーズ(AP=共同)
2シーズンで3回「ヘイルメアリーパス」を成功させた、パッカーズのQBアーロン・ロジャーズ(AP=共同)

2シーズンで3回「ヘイルメアリーパス」を成功させた、パッカーズのQBアーロン・ロジャーズ(AP=共同)

 劇的な結末となった第51回スーパーボウルから早くも1カ月が過ぎた。ただでさえ一般の注目を浴びるスーパーボウルで、しかも史上初の延長戦。結果的に最大25点差をひっくり返してのペイトリオッツの勝利はやはりインパクトが強かったようだ。


 普段はNFLにあまり関心のない人たちでさえ、「今年のスーパーボウルはすごかったね」などと声をかけてくれる。うれしい限りだ。
 本音を言えばレギュラーシーズンも見ていただければ人気も高まると思うのだが、そうはいかないのが現実だ。


 そして、少しだけ困るのが「今年のスーパーボウルはいい試合だったね」という感想だ。筆者はそう言われる度に、心の中で「う~ん」とうなって返答に困ってしまう。
 確かに過去のスーパーボウルにはない逆転劇だったし、ペイトリオッツの追い上げに焦点を当てるなら素晴らしい試合だったろう。


 しかし、筆者の観点からはファルコンズが勝てる試合を落としたという印象はぬぐえず、その意味では好ゲームという評価には同意しかねるのだ。
 だからといってそれを言うと、せっかくスーパーボウルを面白いと思ってくれた人の気持ちを否定してしまうことになりかねない。それは本意ではない。


 でも、なぜファルコンズが勝つべき試合に負けてしまったかを理解してもらうためには、得点の仕組みや時間の使い方などの駆け引き、さらにはプレー選択のセオリーなど多くのことを説明したくなる。
 フットボール愛好家には歓迎されるかもしれないが、一般の人に長々と難しい解説をすれば、それは新たなファン獲得とは逆の効果をもたらしてしまう。そこがジレンマだ。


 ただ、逆転劇はどんなスポーツにも共通して、見る人を惹きつける力があるのは間違いない。それが今回のスーパーボウルがたくさんの人にインパクトを与えた理由であることについては抗うつもりもない。
 そんな逆転劇を演出するプレーで最もドラマチックなものは「ヘイルメアリーパス」だろう。残り時間の少ない状況で、良く言えば「起死回生」、悪く言えば「いちかばちか」のロングパスがTDにつながる。これ以上の興奮はない。


 パッカーズのQBアーロン・ロジャーズは2015年からわずか2シーズンの間に3回もヘイルメアリーパスを決めたことで有名だ。
 長いNFLの歴史で、これだけの短期間にヘイルメアリーパスを量産した例はない。やはりロジャーズは一流のパサーだ。


 さて、この起死回生のロングTDパスがなぜ「ヘイルメアリーパス」と呼ばれるのか。「ノートルダム大学がTDプレーの前に行っていた祈り」だなどと諸説があるが、少なくともこの名称が一般的となるきっかけになった試合が実際にあった。


 1975年12月28日に行われたNFCディビジョナルプレーオフのことだ。この試合は残り24秒までバイキングズがカウボーイズを17―10とリードしていた。
 しかし、逆転劇の多いことから「キャプテンカムバック」との異名をとったカウボーイズのQBロジャー・ストーバックがWRドルー・ピアソンへの50ヤードのTDパスを成功させて逆転勝ちを収める。


 このパスについて試合後に聞かれたストーバックは、「投げた瞬間にマリア様に祈りをささげた(Hail Mary)よ」と述べたことでこのプレーが「ヘイルメアリー」と呼ばれるようになった。
 ただし、こうしたパスプレーはストーバックのTDパス以前にもいくつも起きていたわけで、それらは「alley oop(よっこらしょ)」などと呼ばれていたようだ。


 この言葉が実際にアメリカでどのように使われているかは知らないが、どう考えても「ヘイルメアリー」の方がカッコいい。
 こうした蘊蓄を今年のスーパーボウルをご覧になった方たちに語りたいのだが、行き過ぎは逆効果。気をつけないといけない。


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